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J1に昇格した監督のJ1での勝点ランキングと成績の傾向
今回は監督の成績に注目し、J2・J3からJ1へ「昇格」を果たした監督をピックアップ。
以下の条件で「J1昇格監督」を定義し、J1での平均勝点が高い順に10人を紹介する。
●「J1昇格監督」の条件
①J2もしくはJ3で10試合以上の指揮経験があり、その翌年のシーズン始めからJ1で指揮を執った監督
※対象外となる一例
森下仁志(2014年J2京都で2試合のみ監督⇒翌年J1鳥栖で監督)
宮本恒靖(2018年J3G大23監督⇒2018年途中にG大阪トップチームへ)
②直近10年を対象(2011年J2・J3⇒2012年J1以降。2021年J1監督まで)
●昇格即3冠の長谷川健太 前年のJ2平均勝点よりJ1平均勝点が上回ったロティーナ
直近10年のJ1昇格監督の中で、もっともJ1での平均勝点が高かったのは、2014年に「昇格即3冠」を果たした長谷川健太監督だ。J2での勢いそのままに、遠藤保仁や宇佐美貴史といった才能豊かな面々をピッチで躍動させ、偉業を成し遂げた。
ほとんどの監督はJ1での平均勝点が前年の下位カテゴリーでの平均勝点に比べて減少する結果となっているが、2019年のロティーナ監督は、今回の対象監督(全29人)の中で唯一、勝点がプラスに転じた指揮官だ。2018年の東京VもJ2で6位と結果を残し、J1参入プレーオフに出場を決めているほどなので、決して前年の結果が悪かった訳ではない。それでも、翌年のC大阪で勝点をさらに上積みできたことは、C大阪の選手層を生かし、自身の戦術を浸透させたロティーナ監督の功績と言えるだろう。
※ちなみに、歴代の「J1昇格監督」でJ1平均勝点が最多だったのは2011年柏のネルシーニョ監督(平均勝点2.12)
●J2・J3での平均勝点を3グループに分け、翌年J1での成績の傾向を調査
⇒『前年平均勝点2以上なら、翌年はJ1残留100%』
次に、J2・J3での平均勝点を①2以上 ②1.8以上2未満 ③1.8未満 の3グループに分け、それぞれにおける翌年のJ1成績、残留と降格について傾向を探る。
まず、J2・J3で平均勝点2以上となったグループ(10チーム)に注目すると、翌年のJ1では100%残留を果たしていることが分かる(チーム昇格、監督の個人昇格ともに含む)。しっかりと下位カテゴリーで結果を残すチームを築き上げた監督は、翌年のJ1でも安定した成績を出しているのだ。昨季(2021年)のJ2で平均勝点2を達成した京都は、今季も引き続いて曹貴裁監督が指揮を執るが、過去10年の残留率100%というデータを単純に考慮すれば、今季J1に残留できる確率はかなり高いと言えるだろう。
※2020年は降格チーム0の特殊レギュレーションだったが、前年のJ2で平均勝点2を達成した昇格監督である、下平隆宏監督が率いた横浜FCの最終順位は18チーム中15位。通常のレギュレーションであっても残留圏内となるため、そのまま残留チームとして扱った
一方で、昨季平均勝点が1.62だったアルベル監督は(上のグループ分けでは最下層グループ)、今季のFC東京で良い結果を出す確率が低いかというと、そうとも限らない。アルベル監督、伊藤彰監督はともに今季の「個人昇格」監督にあたるが、過去10年で同様にチーム昇格ではなく個人でJ1昇格を果たした監督は4人。1枚目の表にも登場したロティーナ監督、リカルドロドリゲス監督と、三浦文丈監督(2016J3長野⇒2017J1新潟)、木山隆之監督(2019J2山形⇒2020J1仙台)となっている。このうち、「外国籍監督」という点で注目すれば、ロティーナ監督、リカルドロドリゲス監督の2人はランキング上位に入っていることからも分かる通り、J1で好成績を残している監督だ。アルベル監督も、彼らと同様にJ1の舞台で結果を残す可能性は少なくない、といえるのではないだろうか。
文:増田 椋斗
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2024-12-10 08:23
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