開発コンセプト
各チームにおける「状況別(※)シュート構築率」×「状況別シュート成功率」を考慮した対戦シミュレーションモデルの構築。
※後ろからビルドアップした方がゴールにつながりやすいチーム、前でボールを取った方が得点につながりやすいチーム、セットプレーで得点を取りやすいチームといったようにサッカーはそれぞれのチームスタイルがある。そこでそのような特徴を表すデータを状況別で分類し、それぞれのシュート構築率、シュート成功率に関する条件付き確率を使ってシミュレーターを構築した。
モデルの概念図
チーム別に以下のベイジアンネットワーク(複合条件付き確率モデル)を構築(2020年シーズンより一部改修)
①チーム別状況発生確率 | ②チーム別状況別シュート構築率 | ③チーム別状況別ゴール成功率 | ||
---|---|---|---|---|
PK PKの発生確率 | → | チーム別×PK シュート構築率(100%) | → | チーム別×PK ゴール成功率 |
CK CKの発生確率 | → | チーム別×CK シュート構築率 | → | チーム別×CK ゴール成功率 |
HFK 高い位置でのFK発生確率 |
→ | チーム別×HFK シュート構築率 |
→ | チーム別×HFK ゴール成功率 |
Hスローイン 高い位置でのスローイン発生確率 |
→ | チーム別×Hスローイン シュート構築率 |
→ | チーム別×Hスローイン ゴール成功率 |
H 高い位置でボールを奪う確率 |
→ | チーム別×H シュート構築率 |
→ | チーム別×H ゴール成功率 |
M カウンター 中央の位置でボールを奪いカウンターを狙う確率 |
→ | チーム別×Mカウンター シュート構築率 |
→ | チーム別×Mカウンター ゴール成功率 |
M 中央の位置における他の攻撃発生確率 |
→ | チーム別×M シュート構築率 |
→ | チーム別×M ゴール成功率 |
L カウンター 低い位置でボールを奪いカウンターを狙う確率 |
→ | チーム別×Lカウンター シュート構築率 |
→ | チーム別×Lカウンター ゴール成功率 |
L 低い位置における他の攻撃発生確率 |
→ | チーム別×L シュート構築率 |
→ | チーム別×L ゴール成功率 |
使用データ
各チームにおける攻撃データをもとに
- <①チーム別状況発生確率>
- <②チーム別状況別シュート構築率>
- <③チーム別状況別ゴール成功率>
対戦相手における上記データ(被データ)も按分したデータを使って、失点への影響も考慮。対戦相手が強い場合は高い位置でボールを奪いにくい、相手が引くチームの場合は高い位置でボールを奪いやすいといった概念を考慮している。
シミュレーション方法
<①チーム別状況発生確率>を実装したサイコロを振り、試合時間内の間サイコロを振った結果を使い、以下のデータの発生をシミュレーション。試合時間は、各チームの状況別攻撃の時間と攻撃切替時間を積算。
- 得点数/被得点数
- シュート数/被シュート数
- アタッキングサードでのFK数/被アタッキングサードでのFK数
- CK数/被CK数
- PK数/被PK数
- ボールポゼッション
また、シュート発生時に「通常時」「CK、FK時」「PK時」「その他」の選手別シュート発生率を抽出し、誰がシュートを打つかどうかをシミュレートすることで、より試合後のスタッツに近い形のアウトプットを実現。
シーズン序盤の処理について
(2022年3月追記)
通常、同シーズン直近試合までのデータを利用するが、新シーズン序盤(約10試合程度)についてはデータが少ないため、前年全試合のデータを利用。昇格・降格によって所属するリーグが前年と変わった場合は、事前に算出した過去の昇格・降格によるデータ変化率を使用して攻撃データを再集計した上でシミュレーションを行う。
例えば、2012年から2019年のJリーグにて、J3からJ2、J2からJ1へ昇格した全チームの翌年の攻撃数、シュートに至った数、ゴールに至った数は下図のように変化した。太字はその中央値となる。
例えばJ2時代に1試合で平均7回CKからの攻撃があったチームは、5.97回に減少。CKからの得点が0.25(4試合に1点ペース)だった場合、0.1265(8試合に1点ペース)まで下落する。
このような計算を昇格と降格、自チームデータと被データでそれぞれ算出。J2から昇格したチームと前年もJ1だったチームによる対戦シミュレーションの場合、自チームデータと被データに対して変化率の中央値を掛けた上で按分データを生成して、シミュレーションを行う。
こちらのシミュレーションを使って、どういったパターンで勝つのか?どの選手が点を取るのかなどを予測することが可能となっているので、試合前のプレビューを読みながら、どういった試合になるのか、見どころをチェックする上での参考にご活用ください。
対戦予測シミュレーションはJ1、J2、J3各チームのページにある「対戦シミュレーション」のリンクより見ることができます。
他のオリジナル指標について
「Football LAB」オリジナルの評価指標CBP
FootballLABは、オリジナルの評価指標となるチャンスビルディングポイント(CBP)を開発し、チームや選手の評価を行っています。様々な見方があるサッカーというスポーツの中で「どのチームが(または誰が)本当に効果的なプレーをしているのか?」の『見える化』を試みた指標です。CBPを利用することで、チームや選手の活躍を分かりやすく数値化していますので、是非お楽しみください。
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「Football LAB」オリジナルのPlaying Style指標
FootballLABは2014年にPlaying Style指標(プレースタイル指標)を開発し、各選手ページとリーグサマリーページに公開しました。各選手のプレーデータから決定力、シュート力、パスレスポンス力、パスチャンス力、クロスチャンス力、ドリブルチャンス力、ビルドアップ力、敵陣空中戦、自陣空中戦、守備力、ボール奪取力の計11項目を20段階で算出し、選手のプレースタイルを分かりやすく表現しています。Playing Style指標は各選手ページでご確認いただけます。
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