総論
本ウェブサイトでは、【Chance Building Point】(以下、CBP)という選手やチームを評価する独自の指標を軸に、データを基にしたサッカーの分析・研究を展開していきます。
CBPとは、「選手(またはチーム)が試合を通じてどれだけチャンス機会を構築することができたか」を独自のロジックにより数値化した指標です。選手(またはチーム)に対する評価方法が様々ある中で、「シュート機会への貢献」という観点での評価に軸足を置いています。
本指標をはじめ、近年注目を集めているデータを用いた分析により、サッカー関係者やサッカーファン・サポーターをはじめ、Jリーグに関わる全ての方に新しい視点を提供できればと考えています。
CBPの考え方
フィールド上で発生するプレーを「プレー項目(パス、ドリブル、クロスなど)」と「エリア」で定義し、①そのプレーがどの程度シュートに結びつくか、②そのプレーがどの程度難しいか、という2つの視点に則った算出式を用いてスコア化します。すなわち、フィールド上で発生する全てのプレーにポイントを与えます。
そのプレーがどの程度シュートに結びつくか
=該当プレー×エリア別シュート到達率(当該エリアでのプレーが、最終的にシュートに到達する確率)
そのプレーがどの程度難しいか
=該当エリアにおけるプレーの難易度(当該エリアでのプレーが成功する難易度を独自ロジックでスコア化)
CBPのスコア算出方法
- あるチームが攻撃していきシュートに到達した場合、シュートチャンスの構築に貢献したプレーヤーを評価
- シュートチャンスの構築に貢献したプレーヤーが行ったプレー内容によってスコアを付与
- スコア算出方法
- 該当するエリアでのプレーが起こった場合、そのエリアにおけるシュート到達率を算出
- 当エリアにおけるプレーの成功率から、難易度評価を考慮して算出
同じプレー項目でもエリアごとにシュート到達率や難易度が異なるため、それぞれを考慮した上で、各選手のプレーがいかにシュートチャンスに貢献したかを測ります
難易度評価
例えばA選手が味方に1本のパスを通したとします。この時、前方(敵のゴール近く)で行なったのか、後方(自ゴール近く)で行なったのかを考慮する必要があります。このケースでは双方とも、成功率は1分の1で100%となりますが、意味合いが異なるため、それぞれのエリアにおけるリーグ平均の成功率を基にします。
リーグ平均成功率が30%のエリアと70%のエリアでは、30%のエリアで通すことの方が難しいため、30%のエリアで通したパスの方をより評価すべきと考えます。これが難易度評価の基本的な考え方です。
母数が不十分なエリアもしくはエリア間のプレーについては、実際の成功率とシュート到達率をそのまま用いると過大もしくは過小な評価となってしまう恐れがあるため、母数が十分なエリアのデータを回帰分析して得られた式を用いてポイントを算出し、付与しています。
データ範囲・母数(サンプル数)
2008年シーズン以降のJ1リーグ戦、J2リーグ戦、J3リーグ戦の全試合(リーグ戦のみ)
リーグごとに集計し、各リーグの平均値やエリアごとの難易度などを算出しています。
その数は総計100万プレー以上という膨大な数値となっています。
各プレー定義とエリア区分
パス
味方にボールをつなぐことを意図したプレーをパスとしています。クロスは別途ポイント化しているためこちらには含めません。セットプレーは除かれます。
クロス
グラウンドの3分の1を越えたペナルティエリア両脇の延長線の外から出したパス、もしくは、ペナルティエリア内でもゴールエリアの縦のラインより外側から出し、ペナルティエリア中央付近を狙ったパスをクロスとしています。パスと同様セットプレーは除かれます。
ドリブル
相手を抜こうとする、もしくはかわそうとするプレー。相手と対峙していない状況下でボールを運ぶプレーはドリブルとしていません。
攻撃
上記のパス、クロス、ドリブルのポイントの合計値を攻撃ポイントとして掲載しています。
パスレシーブ
パスと同じ定義ですが、パサーではなくパスの受け手にポイントを付与しました。
シュート
足(キック)、頭(ヘディング)、その他の部位などを使い、得点を取ることを目的としたプレーをシュートとしています。その中から枠内へ飛ばしたシュートがポイントの対象となります。ゴールが決まった場合は、特にシュートを打つ意志がなかったとしても最後に触った選手のプレーはシュートとしています(但しオウンゴールは除きます)。2m未満の距離で相手DFなどにブロックされたシュートはポイント対象となりません。
ゴール
ゴールとなったシュートのみを対象としたポイント、ペナルティキックやフリーキック、コーナーキックなどが直接入った場合も含まれます。
奪取
相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションからボールを奪い自チームの攻撃につなげたプレーに対してポイントが付与されます。ポイントは相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションの失敗確率から算出されるため、相手チームがパスを通しやすいはずの高い位置でボールを奪うと高いポイントがつきやすくなります。
守備
相手のプレーの成功(味方へつなぐ、もしくはゴール)を阻止した場合に、成功していれば攻撃側に付与されていたポイントがそのまま守備側に与えられます。よって味方ゴールに近い方が高いポイントが付きます。奪取と違いマイボールにならなかったとしてもポイントとなりますので、クロスボールをクリアして相手にコーナーキックを与えたとしてもクロスを阻止したポイントが加算されます。
セーブ
相手のシュートに対して、ゴールキーパーがキャッチまたはパンチング等で防ぎ、ゴールに至らなかったプレーをセーブとしています。ペナルティキックやフリーキックなどのシュートも含まれます。
他のオリジナル指標について
「Football LAB」オリジナルのPlaying Style指標
FootballLABは2014年にPlaying Style指標(プレースタイル指標)を開発し、各選手ページとリーグサマリーページに公開しました。各選手のプレーデータから決定力、シュート力、パスレスポンス力、パスチャンス力、クロスチャンス力、ドリブルチャンス力、ビルドアップ力、敵陣空中戦、自陣空中戦、守備力、ボール奪取力の計11項目を20段階で算出し、選手のプレースタイルを分かりやすく表現しています。Playing Style指標は各選手ページでご確認いただけます。
関連リンク
対戦予測シミュレーション
FootballLABは2015年に対戦予測シミュレーションを開発し、各チームページにて公開しました。試合状況や攻撃毎の過去のデータを使用し、選択した対戦カードがどのような結果に終わるのかシミュレーションを行えます。
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「Football LAB」オリジナルのチームスタイル指標
FootballLABは2017年にチームスタイル指標を開発し、各チームページとリーグサマリーページに公開しました。チームのプレーデータから算出したセットプレー、サイド・中央攻撃、カウンター、ポゼッションに加え、トラッキングデータからコンパクトネス、最終ライン、ハイプレスなどの新しいデータも掲載しております。
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