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【J2】選手別のCBPランキング
前回、J1の選手別CBP=Chance Building Pointを紹介し、各選手がどういったプレイでチャンスを構築しているかについて紹介してきたが、今回はJ2の選手別の攻撃CBPについて紹介していきたい。J2は5/6時点で13節が終了しているが、その時点のデータで考察をしてみたい。
前回に引き続き、CBPの考え方を簡単に紹介する。
CBP=Chance Building Pointは、「シュートに結びつく効果的なプレーをどれだけ行ったか?」という観点から、選手・チームを評価する指標である。その算出の考え方としては、過去3年分のJリーグの膨大なデータを用いて、上記の観点からフィールド上の全てのプレーをスコア化した上で、そのプレーを成功させた選手にスコアを加点する。すなわち、チャンスになりやすいプレーをどれだけ行っているか?の把握を試みた指標だとご理解いただきたい。
<J2第13節終了時点での攻撃CBPトップ20>(※個別プレイランキングトップ10に網掛け)
J2の攻撃CBP上位5選手は、柏(甲府)、中村(京都)、ソヨンドク(富山)、福田(甲府)、中山(京都)となった。現在J2首位は山形、2位は湘南だが、4位の京都、8位の甲府といった昇格候補のチームからノミネートされた。
1位となった柏(甲府)は、右サイドのドリブル突破とクロスでチャンスを構築していると言えよう。パスCBPもチームで2番目で、甲府における攻撃の中心選手となっている。現在まだ2アシストと少ないが、
今後アシストを量産してくる危険なプレイヤーだといえよう。
2位の中村(京都)はパスCBPが全体の4位。ボランチのポジションから長短のパスで攻撃の起点となっている選手。パス数は595本で27位だが、いかにシュートにつながるパスを効率的に出しているかがわかる。
3位のソヨンドク(富山)は、ドリブルCBPが1位、パスCBPが10位で、トップ下のポジションでキープ力のあるドリブルとパスでチャンスメークするプレイヤーだということが分かる。チームが21位と低迷する中、現在3ゴール1アシストと得点にも絡んでおり、富山の大黒柱となっている。
4位の福田(甲府)は右サイドバックでありながらクロスCBPが3位で、クロス成功率も38.0%と質の高いクロスを量産している。1位の柏と合わせると甲府の右サイドは非常に脅威であることが見えてくる。
5位の中山はパスCBPがトップ。ちなみにパスCBPのトップ10に、工藤(2位)、中村(4位)、チョンウヨン(5位)、安藤(8位)と5人が入っており、パス主体でチャンスを作っているチームであることが数字で表れていると言えよう。
こういった形で、同じチームのCBPの共通項を見つけることで、チームのストロングポイントを発見したり、自分の応援するチームの次の対戦相手の注意する選手と特徴を把握するという視点でこの攻撃CBPをチェックしてもらえると、今までとちょっと違うサッカー観戦をすることができるかもしれないので、試合前に各選手のCBPをチェックしていただければと思う。
FWでは、中島(山形)、阿部(東京V)、深井(千葉)、池元(北九州)、宮吉(京都)が上位5選手となった。現在の得点ランキングトップ5は、ダヴィ(甲府:10点)、坂田(福岡:7点)、馬場(湘南:7点)、大久保(横浜FC:7点)、有田(愛媛:7点)だが、阿部は5得点3アシスト、宮吉も4得点4アシストとアシストが多い選手が上位に挙がっている。5選手共通でドリブルCBPのスコアが高く、ドリブル突破できるFWがチャンスメイクに貢献しやすいという特徴を表しているかもしれない。
MFでは、全体で紹介した選手以外で挙がってくるのが兵働(千葉)がトップ5に入った。兵働はパスCBPが6位で、アシストランキングがトップの6アシストと千葉で最も危険な選手だ。
DFでは、福田(甲府)、安藤(京都)、前野(愛媛)、石川(山形)、大岩(千葉)とサイドバックの選手が多く、特にクロスの機会が多い選手が上位に挙がる傾向がみられるのはJ1と同様の結果となった。特に両サイドバックともにノミネートされている山形と千葉は、サイドバックの攻撃参加でチャンスを作っていることが見えてくる。
攻撃CBPの上位選手の成分をパス、ドリブル、クロス別に分析していくことによって、選手の特徴、チームの特徴がいろいろな視点で見えてくると思う。チーム別のシーズンデータに過去の累計が出ているので、CBP視点で注目選手やチームで脅威となるエリアなどを考察し、スタジアム観戦、TV観戦に少しでも役立てていただければと思う。
Text by 木下 陽介
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