2017年以来6シーズンぶりに開催されている「Ｊ１昇格プレーオフ」。本日行われる決勝の勝者がＪ１昇格を果たすこととなる重要な大会だ。決勝は国立競技場で開催されることもあり、スタジアムや中継で多くのファン・サポーターが観戦する見込みとなっているが、今回は両チームの注目選手をキースタッツとともに紹介。是非、観戦のおともとしてご活用いただきたい。
※Ｊリーグ公式サイト「数的有意」2023Ｊ１昇格プレーオフ展望はこちら
（準決勝前に執筆されたコラム）
●東京ヴェルディ
今季はリーグ最少失点を誇り、城福浩監督のもと堅守のチームでリーグ3位を勝ち取った。決勝では引き分けでも昇格が決まるレギュレーションなだけに、まずはいつも通りの守備を披露できるかがキーポイントとなるだろう。ＧＫのマテウスは今季リーグ戦で全試合フルタイム出場を果たし、絶対的守護神として君臨。リーグ2位のセーブ率で安定したプレーを続けたほか、ＰＫセーブも二度成功しており（5/28いわき戦、10/22千葉戦）、決勝で「もしもの場面」があった時にも活躍が期待される。また、最大の持ち味はビルドアップ能力の高さで、パス数は今季のＪ２のＧＫで最多。最後方からの組み立てにも注目したい。
マテウスと同様に守備面での役割が求められるだけでなく、攻撃へのつなぎ役として両面での存在感が大きいのは、宮原和也、森田晃樹だ。宮原は右サイドバックとして、キャプテンマークを巻く森田はボランチやアンカーとしてチームの絶対的中心となっており、攻守のさまざまなスタッツで高い数値を残している。また、宮原はクロスを中心に、森田は中央からのパスを中心にチャンスにも多く関わっており、決勝では彼らの動きに注目したい。特に、森田は自身の得点が多いタイプではないが、準決勝の千葉戦でゴールを挙げており、勢いを持って決勝に臨むだろう。
先に1点を取れば昇格への道が大きく広がる中、東京Ｖの攻撃陣で注目なのは絶好調の中原輝。リーグ戦終盤は栃木戦での直接ＦＫゴールなどを含めてゴールを量産。準決勝の千葉戦でも先制点を挙げ、直近の公式戦5試合で4ゴールと大活躍中だ。169センチと小柄ながら、ドリブルや左足でのシュートは一級品で、決勝でもチャンスクリエイトや得点が大いに期待される。
●清水エスパルス
今季、優勝した町田に次ぐリーグ2位の得点力を誇り、序盤のつまずきを取り戻して4位で終えた清水。自力での自動昇格のチャンスがあった中で最終節は勝利を飾れず、準決勝はメンタル面でも難しい戦いを強いられた。スコアレスに終わったものの、数多くの決定機を作って迫力あるアタッキングを見せ、レギュレーションによって決勝進出を決めている。今回は得点を挙げなければＪ１昇格は果たせない状況のため、攻撃陣の活躍は必須だ。今季チーム内得点王のカルリーニョスジュニオ、昨季Ｊ１得点王のチアゴサンタナら強力タレントが牙をむき、堅守の東京Ｖを打ち崩したい。チアゴサンタナは相手陣ＰＡ内でのプレーやクロス受けなどのスタッツがチーム1位を記録しており、Ｃジュニオは枠内シュートやドリブルなどでチーム上位の数字を残している。
さらに、彼らの後ろにはリーグ随一のチャンスメーカー、乾貴士が控える。アシストやラストパスなど、パスに関わるスタッツでチーム1のスタッツを残していることからも分かるとおり、チームの攻撃を支える重要な存在だ。35歳とベテランの域に入っているが、まだまだ衰えを見せることなくトップクラスの活躍を見せている。自らゴールを奪う力も高いことから、相手守備陣にとっては最も警戒すべき存在だろう。
準決勝では、今季リーグ戦で全試合に出場していた権田修一が急遽ベンチ外に。代役を務めた今季リーグ戦出場0だった大久保択生は、好セーブを連発して無失点に大きく貢献した。この試合での5セーブという回数は今季Ｊ２の平均セーブ数2.4を大きく上回っており、今季の清水のリーグ戦試合別セーブ数1位の6回に次ぐ2位タイの記録にもなっている。
●16年ぶりの昇格か、降格即復帰か
今季の直接対決では、いずれも1点差で清水が東京Ｖ相手にシーズンダブルを達成している。だが、今回は引き分けると東京Ｖが昇格、というレギュレーションで行われるため、過去2試合とは様相が異なるだろう。東京Ｖがホームのサポーターとともに16年ぶりの昇格を決めるのか、昨季悔しい思いを味わったばかりの清水が「即復帰」を決めるのか。
「ヴェルディとエスパルス」、93年のＪリーグ開幕前年にも行われたリーグカップファイナルと同じカードとなった「オリジナル10」同士の決勝戦は、12月2日14:05にキックオフされる。
執筆：増田 椋斗
Columns
Graphics
