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J1に昇格した監督のJ1での勝点ランキングと成績の傾向 
2022-02-10 20:00 RSS

今回は監督の成績に注目し、J2・J3からJ1へ「昇格」を果たした監督をピックアップ。
以下の条件で「J1昇格監督」を定義し、J1での平均勝点が高い順に10人を紹介する。

●「J1昇格監督」の条件
①J2もしくはJ3で10試合以上の指揮経験があり、その翌年のシーズン始めからJ1で指揮を執った監督
※対象外となる一例 
森下仁志(2014年J2京都で2試合のみ監督⇒翌年J1鳥栖で監督)
宮本恒靖(2018年J3G大23監督⇒2018年途中にG大阪トップチームへ)

②直近10年を対象(2011年J2・J3⇒2012年J1以降。2021年J1監督まで)

●昇格即3冠の長谷川健太 前年のJ2平均勝点よりJ1平均勝点が上回ったロティーナ

直近10年のJ1昇格監督の中で、もっともJ1での平均勝点が高かったのは、2014年に「昇格即3冠」を果たした長谷川健太監督だ。J2での勢いそのままに、遠藤保仁宇佐美貴史といった才能豊かな面々をピッチで躍動させ、偉業を成し遂げた。

ほとんどの監督はJ1での平均勝点が前年の下位カテゴリーでの平均勝点に比べて減少する結果となっているが、2019年のロティーナ監督は、今回の対象監督(全29人)の中で唯一、勝点がプラスに転じた指揮官だ。2018年の東京VもJ2で6位と結果を残し、J1参入プレーオフに出場を決めているほどなので、決して前年の結果が悪かった訳ではない。それでも、翌年のC大阪で勝点をさらに上積みできたことは、C大阪の選手層を生かし、自身の戦術を浸透させたロティーナ監督の功績と言えるだろう。

※ちなみに、歴代の「J1昇格監督」でJ1平均勝点が最多だったのは2011年柏のネルシーニョ監督(平均勝点2.12)

●J2・J3での平均勝点を3グループに分け、翌年J1での成績の傾向を調査
 ⇒『前年平均勝点2以上なら、翌年はJ1残留100%』

次に、J2・J3での平均勝点を①2以上 ②1.8以上2未満 ③1.8未満 の3グループに分け、それぞれにおける翌年のJ1成績、残留と降格について傾向を探る。

まず、J2・J3で平均勝点2以上となったグループ(10チーム)に注目すると、翌年のJ1では100%残留を果たしていることが分かる(チーム昇格、監督の個人昇格ともに含む)。しっかりと下位カテゴリーで結果を残すチームを築き上げた監督は、翌年のJ1でも安定した成績を出しているのだ。昨季(2021年)のJ2で平均勝点2を達成した京都は、今季も引き続いて曹貴裁監督が指揮を執るが、過去10年の残留率100%というデータを単純に考慮すれば、今季J1に残留できる確率はかなり高いと言えるだろう。

※2020年は降格チーム0の特殊レギュレーションだったが、前年のJ2で平均勝点2を達成した昇格監督である、下平隆宏監督が率いた横浜FCの最終順位は18チーム中15位。通常のレギュレーションであっても残留圏内となるため、そのまま残留チームとして扱った

一方で、昨季平均勝点が1.62だったアルベル監督は(上のグループ分けでは最下層グループ)、今季のFC東京で良い結果を出す確率が低いかというと、そうとも限らない。アルベル監督、伊藤彰監督はともに今季の「個人昇格」監督にあたるが、過去10年で同様にチーム昇格ではなく個人でJ1昇格を果たした監督は4人。1枚目の表にも登場したロティーナ監督、リカルドロドリゲス監督と、三浦文丈監督(2016J3長野2017J1新潟)、木山隆之監督(2019J2山形2020J1仙台)となっている。このうち、「外国籍監督」という点で注目すれば、ロティーナ監督、リカルドロドリゲス監督の2人はランキング上位に入っていることからも分かる通り、J1で好成績を残している監督だ。アルベル監督も、彼らと同様にJ1の舞台で結果を残す可能性は少なくない、といえるのではないだろうか。

文:増田 椋斗

2022-02-10 20:00 RSS
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