HOME » パリ五輪世代 Jリーグ通算出場時間ランキング
東京オリンピックの激闘から約3カ月。世代別日本代表は10/26からU23アジアカップの予選を戦うこととなり、いよいよ次の世代の始まりを告げる鐘が鳴る。
今回のU-22日本代表は、本来この大会の中心世代である選手の招集を数名にとどめ、次のパリオリンピックを見据えて20歳以下の選手を中心にチームを構成している。
そこで、パリ世代のはじめの一歩とも言えるこのタイミングで、Jリーグにおけるパリ世代のJ1、J2、J3、ルヴァンカップの合計出場時間の多い順に並べ、過去の招集履歴と主なスタッツとを併せて掲載した。
図におけるリーグ別表記内の順位は2001年生まれ以降すべての選手を対象にしたものとなっている。また、参考として招集歴に2019年のU17ワールドカップを含めたが、これは2002年生まれ以降、U-19(2021年換算)世代の大会であり、2001年生まれの選手は世代から外れていた大会であることにも留意したい。
※データは10/20終了時点
パリ世代のJリーガーで最も出場時間が多いのは清水の松岡大起。特筆すべきは、全てJ1・ルヴァンカップでの成績という点だ。同世代の他選手に大きく差をつけてトップリーグでの経験を積んでおり、パリ世代でもチームの心臓としての活躍に期待がかかる。
次いで出場時間2位となったのはC大阪の西尾隆矢。C大阪のU-23チームとしてJ3で多くの出場を重ね、J3のみでの出場時間では世代で1位だ。また、今季はJ1で定位置をつかみ、若手ながらも最後方からチームを支える大黒柱となっている。センターバックでの起用が主だが、状況によってはサイドバックも務められるユーティリティー性を持っており、今後世代別代表に選ばれることがあれば、どのように起用されるかも注目だ。
続いて出場時間が多いのは、FC東京の中村拓海。屈指のサイドバックの選手層を誇るFC東京の中でコツコツと出場を続け、チームの選択肢の1つとして欠かせない存在となっている。今回の招集メンバーからは外れているが、ルヴァンカップでの出場時間は世代で最も多く、豊富な経験を持つサイドバックが再び日本を背負って戦う時はそう遠くはないだろう。
名古屋の成瀬竣平は出場時間合計では10位となったが、J1での出場時間、ルヴァンカップでの出場時間はともに世代で2位につけており、今季はACLの舞台でも戦った。中村拓海と同様に若くして経験豊富なサイドバックだ。今後の飛躍が間違いない有望選手といえる。
今回のU23アジアカップ予選のメンバーに選ばれた中では、前述の松岡大起のほか、藤田譲瑠チマ、半田陸、田中聡、鈴木唯人らが多くのJ出場経験を誇る。
高い技術力を生かしてボランチを中心に出場を続けてきた藤田譲瑠チマは、東京オリンピックのトレーニングパートナーとして貴重な経験を積んだ。次はパリ世代の中心の1人として、チームを引っ張る姿に期待したい。
半田陸は山形の主力として、チームで確固たる地位を築いている。持ち前の守備力のみならず、サイドバックを務めていることで試合を重ねるごとに攻撃力も磨かれている。U17ワールドカップでは主将を務めるなど、リーダーシップも持ち合わせており、今後の成長が楽しみな選手だ。
田中聡、鈴木唯人はいずれもルーキーイヤーの昨季からJ1で10試合以上先発を飾っており、今季も主力としてチームに貢献する期待の若手だ。湘南、清水ともに残留争いに巻き込まれる苦しい状況の中で代表活動に参加することとなったが、この経験をどのようにチームに還元できるか。代表での2試合のみならず、チームに合流した後の彼らにも注目が集まる。
出場時間では16番目となった荒木遼太郎も、この世代注目の1人だ。高卒で鹿島に加入後、1年目から途中出場を中心にJ1での経験を積み、今季は完全に主力としてチームを引っ張る存在まで上り詰めている。サイド、中央どちらもこなせる希代のアタッカーは、J1でのゴールとアシストをともに二桁に乗せており、世代の他選手を数字で圧倒している。
比較的若い選手がポジションを確保しづらいと言われるGKでは、東京オリンピックの本メンバーとしてチームに帯同した鈴木彩艶がルヴァンカップのみの出場時間で世代3位となっており(フィールドプレーヤーも含む順位)、2021JリーグYBCルヴァンカップ ニューヒーロー賞を受賞した。また、いずれも現チームのアカデミー育ちである仙台の小畑裕馬、柏の佐々木雅士は今回のU23アジアカップ予選メンバーに招集されている。
J2のみの出場時間では、東京Vの山本理仁が世代で1位、京都の川﨑颯太が2位となった。両選手とも中盤を主戦場とする守備的なゲームメーカータイプで、特徴的な戦術を採用するチームにおいて「外せない」重要な役割を担っている。
今回取り上げていない選手の他にも、多くのパリ世代Jリーガーが活躍を見せており、将来のパリオリンピックの代表候補を全く絞り切れない状況といっても過言ではない。海外や大学で活躍を続ける選手を含め、この世代のさらなる飛躍を期待してやまない。
文:増田 椋斗
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