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コラムColumns欧州へ羽ばたいた若武者たち 2021夏part2。

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欧州へ羽ばたいた若武者たち 2021夏part2
2021-09-28 14:00 RSS

 今回も前回と同じように今夏の移籍マーケットでJ1から欧州へ旅立った選手たちのスタッツを紹介していく。
 その第二弾として、三笘薫(川崎フロンターレ→ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC)、林大地(サガン鳥栖→シント=トロイデンVV)の2名にフォーカスを当てる。
 
 まずは、U-24日本代表として今夏の東京五輪2020にも出場した三笘薫のスタッツから見ていく。

 2019シーズンに特別指定選手として川崎Fでルヴァンカップで初出場を果たし、2020シーズンにはJ1で30試合に出場。13ゴール12アシストという期待以上の活躍を見せ、クラブ3度目となるリーグ優勝にも大きく貢献。2021年は昨年よりスタメン出場が増え、出場20試合中13試合にスタメン出場している。
 今となっては三笘のプレースタイルを紹介するのは野暮だろう。2021シーズンの三笘のプレーが知りたい方はこちらの<動画>を見て欲しい。

 そんな彼のスタッツは想像するに難くない。その中でも特に目を見張るのはゴールとドリブルに関連するデータだ。2020、2021シーズンのJ1でのゴール数を合計すると21ゴールとなり、J1全体としては3位タイ(以下、三笘が今季最後の出場となった2021年5月30日までの試合で集計)。チーム内の1位はレアンドロ ダミアンの25点で、それに次ぐ小林悠と並ぶ結果を残している。また、91本打ったシュートのうち51本を枠内に飛ばし、シュート枠内率は56.0%を記録。これはこの期間でシュートを20本以上打った204選手の中でトップの数字となっている。
 さらに代名詞とも言えるドリブルでも秀逸なスタッツを見せている。約1年半のJ1でのドリブル総数は205回で3番目に多い数字だ。仕掛けの多さ自体はもちろんだが、特筆すべきはドリブル後の結果だろう。ドリブルで抜いた人数、ドリブル後のプレーでのアシストやラストパスはすべて1位となっている。また、ドリブルが成功した後の次のプレーも成功する割合はドリブル総数に対して21.0%であり、ドリブル総数100回以上の13選手の平均11.0%と比較しても圧倒的に高く、ドリブルによる仕掛けが相手にとって脅威になっていたことが分かる。

 三笘はプレミアリーグに所属するブライトンへの完全移籍ではあるものの、今季はビザの関係もありロイヤル・ユニオン・サンジ=ロワーズ(ベルギー1部)にレンタル移籍している。まずはベルギーの地で国内で見せたような活躍を期待したいところだ。


 次に紹介する林大地も同じく東京五輪に出場し、グループステージ第3節フランス戦を除く5試合に先発出場している。

 2019年に鳥栖でJリーグデビュー。翌年の2020シーズンでは31試合に出場して9ゴール挙げ、今季は20試合の出場で4ゴールの成績を残している。<ゴール動画

 「ビースト」という愛称でも親しまれている林は、常にゴールを目指してプレーする選手だ。ストライカーの嗅覚よりもゴールへの貪欲さに優れている選手であり、岡崎慎司(カルタヘナ・スペイン2部)を彷彿とさせるところがある。フィジカルの強さに長けており、シュートも狙い澄まして打つというよりもパワーで打ち込むという印象が強い選手だ。

 そのプレースタイルを持ち味にしている林だからこそというべきか、スタッツも前線での守備が目立つものになっている。年度別で比較するとよりその差が分かるだろう。まず、ボール奪取(相手のチームの攻撃から自チームの攻撃に切り替わった時の最初のプレー)の回数に変化が見られる。2020シーズンは20回だったのに対し、今季は34回に増加。そのボール奪取のうち、自チームのボールロストから5秒未満で奪い返した回数も昨年の3回から8回に増えている。
 これは他の項目でも同様の傾向が見られる。タックル数は12回から25回、タックルでのボール奪取率(タックル後に自チームのボールになる割合)も66.7%から84.0%まで増えている。現代サッカーでより重要視されるトラジションで強さを発揮しており、それが年々高まっていると言えるデータだろう。被ファウル数も同様に増加しており、マークを受けながらも自チームの攻撃機会を増やすことに貢献している。

 そんな守備面での向上が見られる林だが、ゴール数は2020シーズンの9ゴールから今季は4ゴールと少し物足りない数字になっている。昨季は途中出場で6ゴールを挙げて結果を残していたが、今季は先発が多くなったことで試合の状況に応じて求められるプレーが増えていることも影響しているだろう。

欧州の舞台では国内よりも得点が求められる部分が大きく、持ち前の前線での守備からいかに決定機へとつなげられるかが焦点となりそうだ。ヨーロッパでも「ビースト」の「異名」を知らしめて欲しい。


 今回は前回に続いて今夏、欧州へ旅立った選手たちのスタッツを紹介した。いずれの選手も欧州初挑戦であり、まずは環境に慣れることが大事だろう。まだまだ長いキャリアが残されている選手たちであり、酸いも甘いも噛み分けて成長していって欲しいところだ。


文 鬼澤 優作


■関連ページ
コラム 欧州へ羽ばたいた若武者たち 2021夏part1
https://www.football-lab.jp/column/entry/809/

三笘薫 選手ページ
https://www.football-lab.jp/player/1611126/

林大地 選手ページ
https://www.football-lab.jp/player/1627550/


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