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コラムColumnsJリーグ屈指のサイドアタッカー 坂元達裕。

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Jリーグ屈指のサイドアタッカー 坂元達裕
2020-11-25 11:00 RSS

 今シーズンのJ1リーグで開幕から順調なスタートを切り、現在ACL圏争い真っただ中のセレッソ大阪。そんなC大阪で新たな攻撃の原動力としてシーズン序盤から大活躍を見せているのがモンテディオ山形より加入した坂元達裕だ。


 坂元は今季のリーグ戦28試合中27試合に出場し、出場した試合は全て先発。出場時間にするとリーグ戦全試合にフル出場しているマテイヨニッチとキムジンヒョンに続き、チーム内で3番目にピッチに立っている時間が長い(オフェンスの選手ではチーム内1位)。加えて2ゴールを挙げている他、J1デビューイヤーながらチーム内で清武弘嗣と並ぶ7アシストを記録しており、早くも自分の立場を確立している。また相手DFをなすすべなく抜き去る強烈なキックフェイントは、もはやトレードマークと言えるだろう。
<第14節 浦和戦 ドリブルで相手を抜いてゴールを演出 ハイライト動画より>
<第16節 横浜FM戦 キックフェイントでかわしてからのアシスト ハイライト動画より>
<第27節 清水戦 キックフェイントでかわしてからのアシスト ハイライト動画より>

 さらに同クラブで指揮を執って2年目になるミステルことロティーナ監督からの信頼も厚い。第23節の横浜F・マリノス戦後の監督コメントでは「あれだけ仕事量が多くて、相手のバランスを崩すことができる選手に出会うことは、なかなか難しいと思っています」と坂元を称賛している。
<第23節の横浜F・マリノス戦 ロティーナ監督の試合後コメント(最後の部分)>

 そんな坂元を語る上で欠かせないであろうドリブルからデータを見ていきたい。(以降のデータは11月18日開催までが対象)
今季は81回のドリブルを記録しており、そのうちの47回を成功させている。成功率は58.0%で、チーム内で2番目にドリブル数が多い清武の41.0%(39回のうち16回が成功)に大きく差をつけている。
 次に今季のJ1全体のドリブル数ランキングを見てみる。クラブの戦い方によって差が出る部分ではあるため、数が多ければ良いというものではない。むしろ、ここで注目して欲しいのはドリブルの成功率だ。坂元の成功率は回数の上位10位以内の選手の中で2番目となる。また、レギュラークラスという意味で出場時間が2000分以上の基準を設け、マテウス(名古屋グランパス)、古橋享梧(ヴィッセル神戸)、ディエゴオリヴェイラ(FC東京)の中で比較すると、最も高い成功率であることが分かる。

 ペナルティエリア内(PA内)で仕事ができるのも坂元の魅力だ。今季はドリブルで19回PA内に進入しており、チーム内では次点で並ぶ高木俊幸と清武の3回に大きく差をつけている。またJ1全体で見ても引けを取らない。坂元の回数は三笘薫(川崎フロンターレ)の26回に続いて多い数字となっている。
 続いて坂元のドリブルの軌跡を表したグラフィックを見て欲しい。PA内の右脇(ニアゾーン)を狙って意識的にドリブルを仕掛けていることが分かる。近年のフットボールにおいて得点を奪うためにこのスペースを使うことは重要な戦略の一部となっており、ここを『個の力』で何度も進入して決定機を演出できる坂元はJリーグ屈指のアタッカーと言えるだろう。

 坂元はクロスでのチャンスメイクも得意としている。今季はクロスから6アシストを記録しており、J1全体でも旗手怜央(川崎F)、水沼宏太(横浜FM)、マテウス(名古屋)の4アシストを抑えて単独トップだ。また、坂元は左足で32本、右足で34本の計66本のクロスを上げており、蹴り足の偏り具合を表す指数はほぼ均等の1.06(1が左右均等で数字が大きいほど偏りがあることを表す)。この数字はクロスからのアシスト3回以上の11名の選手の中でも最も小さく、6アシストの内訳についても左右の足で3点ずつであることから両足でチャンスを演出できる貴重な選手であることが分かる。

 最後に坂元の昨季のデータを用いてJ1初挑戦となった今季のここまでを総括したい。

 まず、上記でも触れたドリブルから見ていく。昨季のJ2山形では42試合全てに出場し、そのうち35試合が先発出場。ドリブル回数はリーグ3位となる147回で、これを90分換算にすると4.2回のドリブルを行っていた計算になる。対する今季は3.3回となっており、1試合あたり約1回分仕掛けること自体が減っている。ただし、成功率には変化は見られない。つまり、昨季よりドリブルでの突破は若干減っているものの、ドリブルの質はJ1でも落ちていないと言えそうだ。
 次にクロスについて。90分換算で昨季の1.9回から今季は2.7回に増加。これは今季は右サイドハーフで出場しているのに対して山形時代は2シャドーの右で出場していたことも影響しているだろう。クロスの成功率についても上がっており、成功数は倍以上になっている計算になる。なお、前述のクロス部位の偏り指数の昨季の値は1.31。昨季から左右の差は小さかったが、今季はさらに小さくなっていることも特徴だ。

 以上を踏まえ、坂元はJ2で発揮していた力を余すことなくJ1でもフル活用できていると言っても過言ではない。カテゴリーや所属クラブは変わっても好調を維持し続けている。

 ここまでJ1デビューイヤーとは思えないパフォーマンスを見せている坂元。また、試合を重ねていくうちにさらに技術を磨いている。すでにセレッソの主力選手になってはいるが、まだまだ先に突き進んで欲しい。いつかJリーグの顔とも言える選手になり、サムライブルーのユニフォームに袖を通した姿をぜひ見てみたいと思う。

執筆 鬼澤 優作


・関連ページ
フットボールラボ 坂元 達裕 選手ページ
https://www.football-lab.jp/player/1500295/

2020-11-25 11:00 RSS
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