HOME » J2で下位に沈む松本山雅。浮上のポイントは
DataStadiumアナリストに訊く vol.4
「DataStadiumアナリストに訊く」では、アナリストを交えたインタビュー形式のコラムで、サッカーの面白さや新たな気付き・視点を与えられるような連載を目指します。
今回はデータスタジアムのアナリスト、高橋 朋孝 さんに訊いてみました。
——J1から降格して今季はJ2で戦っているジュビロ磐田、松本山雅FCの2チームですが、松本が苦しんでいます。高橋さんの地元・長野県のクラブですし、気になっているのではないでしょうか。
[高橋] そうなんです。やはり地元のチームの状況というのは気になっちゃいますね。松本は現時点で3勝4分け9敗と20位に沈んでいます。
※9/4(金)インタビュー時点。9/5(土)の17節、山形戦で勝利。9/9(水)の18節、山口戦で引き分け。4勝5分け9敗で19位に
——高橋さんは松本の現状をどのように捉えていますか?
[高橋] 結果を見れば当然ですが、得点が少なくて失点が多い。では、これまでと何が一番違うのか、と考えた時にやはり「失点が多い」ということに尽きるかなと。皆さんがイメージする「松本らしさ」ってあると思うのですが、この失点の多さは、松本らしくない。先制点を奪われるとガクッとパフォーマンスが落ちるような印象を受けています。守備が機能していたのに耐え切れなくなる、とか、ミス後の切り替えが遅くなるであるとか。16試合中、12試合で先制点を奪われているというのが厳しい現状を物語っていますね。
——なるほど。守備での課題はどのあたりになるのでしょうか?
[高橋] まず前提として、守備が何もかもうまくいっていない、とは考えていません。データを見ると、アタッキングサードとミドルサードでのタックル数は206回とリーグ最多の回数を記録しています。能動的なプレッシングでボールを奪いに行くこと、高い位置でのボール奪取を狙うこと自体は悪くないと考えています。
ただ、事実として相手には前進を許している。これは、最初のアクションを剥がされた後の守備、リアクション状態でのスライドの遅さなど、いくつか原因があるかもしれません。
また、ボールを奪った後のパスミスも目立っています。ボールゲイン後の5秒未満でのロスト回数がワースト2位の178回で、ロングカウンターの回数はリーグで2番目に少ない。これは守備の質が上がれば、前向きにボールを奪って良い形で攻撃に切り替わることができるはずなので、今後に期待したいですね。
——データを見ると、クロスを上げられている回数自体は少ないほうなんですね。
[高橋] 被クロス数はリーグ内で比較すると、多くありません。ただ、被クロスの成功率はワースト3位、クロスがラストパスになった数は51本とリーグで3番目に多い。つまり、上げられているクロスは他チームに比べて多くないのに、クロスからシュートを打たれた数は多くなってしまっているというわけです。ボールゲイン後のロストのような悪循環が、クロスを良い形で上げられている要因といえるかもしれません。
——先ほどの話とつながりますね。守備の質を高める整理ができれば、攻守に改善される余地があるということですね。
[高橋] はい。細かなポイントは割愛しますが、守備ブロックを構築して相手の前進を待ち構える、いわゆるリアクション守備の質が高まるといいですね。
新監督を迎えて新たなスタートを切った今季の松本。ここまでは順風満帆とはいい難いシーズンを過ごしているが、キッカケをつかめば成績が好転する可能性は秘めている。今後の変化に注目だ。
次節の明治安田生命J2リーグ第19節、栃木vs松本(9月13日 18:00K.O@栃木グ)では、リーグ最少失点を誇る栃木のホームに乗り込んでの一戦。栃木の守備と松本の守備にはどのような違いがあるのか、比較しながらゲームを見てみたい。
文:佐伯 渉
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