HOME » 今季絶好調の川崎フロンターレ。違いを生んでいるのは「守備」だった
DataStadiumアナリストに訊く vol.1
今回から連載コラムとして「DataStadiumアナリストに訊く」というシリーズを始動。アナリストを交えたインタビュー形式の記事で、サッカーの面白さや新たな気付き・視点を与えられるようなモノを目指します。
というわけで初回はデータスタジアムのアナリスト、藤宏明 に訊いてみました。
——目下クラブ新記録の8連勝。川崎フロンターレが絶好調で首位を独走しています。この要因をどう見ていますか?
[藤] リーグ最多得点で圧倒的な攻撃力に目が行きがちですが、実は失点が2番目に少ない。(C大阪、広島が5失点。川崎Fは6失点でリーグ3位タイ)良いディフェンスが良い攻撃につながっています。
——具体的にいえば、どのあたりが他のチームとの違いを生んでいるのでしょうか?
[藤] ポイントは前線からの守備ですね。相手のゴールに近い位置で相手からボールを奪えば、大きなチャンスに直結するというのはイメージできると思います。
今季、川崎Fのアタッキングサードでのボールゲインは第9節終了時点でリーグ最多の83回。1試合平均では9.2回になります。ちなみに、リーグ2位は61回のFC東京で1試合平均は6.8回です。
※ボールゲイン…簡単にいうと、相手チームからボールを奪ったプレー。タックルなど意図的なプレーもあれば相手のパス失敗を拾う偶然のプレーもある
——昨シーズンのフロンターレと比較すると、どうでしょう?
[藤] アタッキングサードでのボールゲインの回数を見ると、昨季も川崎Fは2位でリーグの中では上位。シーズン途中なので、同じ試合数での比較ではありませんが、1試合平均でいうと今季は+3.8回となり、ボールゲインの数がさらに増えています。
——そもそも良い数値だったのに、さらに伸びたということですね。他にも特徴的なデータはありますか?
[藤] 前線からの守備が機能しているのは、ゲインラインのデータからも分かります。今季の川崎Fは41.6mとリーグトップの数値を記録しています。2位の神戸が36.9mですね。ちなみに、昨季のデータを見てみると、川崎Fは36.8mでした。つまり、今季の川崎Fは昨季よりも約5m高い位置でボールを奪っていることになります。
※ゲインライン…ボールゲインをした位置の、自陣ゴールラインからの平均距離
——今季はボールを失っても高い位置ですぐに奪い返している印象がありましたが、しっかりとデータにも表れているんですね。
[藤] そうです。「ボールを失ってもすぐに奪い返す」というのもポイントで、ボールロスト後5秒未満でのリゲイン率というデータがあるのですが、これも22.6%で川崎Fがリーグトップです。(※2位の横浜FMが16.7%)
ここまで挙げたデータにも共通していますが、昨季も川崎Fが記録した数値はリーグ上位のものでした。ですが、今季はさらに高い数値が出ていることになります。データから見ても、今季の川崎Fは「前線からの守備が、高い攻撃力を支えている」といえるでしょう。
※リゲイン…自チームのボールロスト後に相手の攻撃を奪い返した(ボールゲイン)プレーのこと
開幕前には[4-2-3-1]から[4-3-3]へのシステム変更を行ったことが話題となり、「変革」と銘打つメディアもあった今季。ここまでは指揮官の狙い通り、圧倒的な成績とデータがその「変革」ぶりを証明している。川崎Fはこのまま連勝街道をひた走るのだろうか。
次節の明治安田生命J1リーグ第10節、札幌vs川崎F(14:00K.O@札幌ド)では「ミシャ式」で知られる札幌が相手。今回挙げた「高い位置でのボールゲイン」「ボールロスト後のリゲイン」をポイントに試合をチェックしてみたい。川崎Fの狙い通りにゲームが進むのか、はたまた川崎Fのハイプレスを剥がして札幌が金星を挙げるのか。必見です。
文:佐伯 渉
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