HOME » 鹿島アントラーズvsFC東京レビュー~鹿島のCKと室屋の高速走行
首位と2位の直接対決となった第26節の鹿島アントラーズvsFC東京は、鹿島が2-0で勝利を収め、いよいよ首位FC東京との勝点差は1にまで迫った。見応えある試合となった両チームのデータからそれぞれ1つずつ紹介しよう。
■鹿島のコーナーキック
図1:鹿島の2つのCK時の動き
試合の開始直後に攻勢を見せたFC東京だったが、その後鹿島はこの試合最初となるコーナーキックからブエノが先制弾を決めた。前半22分にもブエノはCKからフリーでシュートを放っている。そのCKシーンにおける動きを表したのが図1だ。得点シーンにおいて、ブエノの近くにはチームメートの犬飼もおり、それぞれにマーカーが付いた状態だった。ただ、犬飼が回り込みながら奥へ進入したのに対してマーカーだった森重はブエノのところでブロックされる形となり、結果、両者のマークが不安定な状態となったタイミングでブエノが頭で合わせた。
図2:CK時のブエノと犬飼の動き
ブエノと犬飼が互いにスタメンとなったのはここ最近の試合だが、これまでの試合ではコーナーキックの攻撃時において二人は離れ気味のポジションを取っていたものの、この試合ではお互い近い距離におり且つゴールから離れた位置を取る傾向にあった。
セットプレーからの失点が少ないFC東京だが、試合開始から最初の被CKにおける被シュート率は44%とリーグで2番目に高く、良くない傾向が大事な一戦で露呈する形となった。首位をキープするためにも今後はCK時の守備について見直す必要があるだろう。
■FC東京・室屋の高速走行
図3:高速走行サマリー
前半早々に失点をしたFC東京であったが、特に後半は鹿島ゴールに何度も接近した。そのキープレーヤーの1人である右サイドバックの室屋成は試合において最多の高速走行回数を記録(本記事では21km/h以上で2秒以上走ったケースを高速走行とする)。ボール保持時でもディエゴオリヴェイラに次ぎ、永井と2位タイの数値となっている。リーグ全体で見てもFC東京の選手はトップ20に4人ランクイン。この高速走行からのシュート率において、FC東京内ではディエゴオリヴェイラと室屋が高めの数値となっているが、その傾向がそのままこの試合でも表れた。
図4:保持時平均ポジションとパス交換と室屋のスプリント
試合内の傾向は前半、後半開始から20分間、終了までの3段階で異なる。前半のFC東京のボール保持率は51.1%とわずかに上回ったものの、室屋のパス受けは10本だった。後半開始からはボールが動かせるようになり、左サイドの攻撃から高速走行でペナルティエリアまで進入した室屋が最後に絡むようなシーンが生まれ、大森からナサンホに交代し東が右サイドに入った後半20分以降では彼とのパス交換も生まれ、これまでに比べ短めの高速走行が増えた。
残すは8試合。他のチームも含め混沌としそうな首位争いを制するためにどの短所を補い長所を伸ばすのか。チーム全体の力が問われる試合が最後まで続くだろう。
鹿島vsFC東京のマッチレポート
八反地 勇
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2024-11-04 15:10
2024-03-27 09:55
2023-12-05 12:45