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チャンスビルディングポイントのアップデートについて
2019-02-14 12:00 RSS

本ウェブサイトでは開設された2012年よりオリジナルのデータ指標であるチャンスビルディングポイント(CBP)を掲載しておりますが、2019年より一部のデータのアップデートと新しい項目の追加を行いました。これに伴い、改めてCBPについてご紹介したいと思います。

CBPとは、「選手(またはチーム)が試合を通じてどれだけチャンス機会を構築することができたか」を独自のロジックにより数値化した指標です。選手(またはチーム)に対する評価方法が様々ある中で、「シュート機会への貢献」という観点での評価に軸足を置いています。

フィールド上で発生するプレーを「プレー項目(パス、ドリブル、クロスなど)」と「エリア」で定義し、①そのプレーがどの程度シュートに結びつくか、②そのプレーがどの程度難しいか、という2つの視点に則った算出式を用いてスコア化します。すなわち、フィールド上で発生する全てのプレーにポイントを与えます。

該当するエリアでプレーが起こった場合、そのエリアにおけるシュート到達率と当エリアにおけるプレーの成功率から、難易度を考慮して算出し、そのプレー項目におけるポイントとなります。

例えばA選手が味方に1本のパスを通したとします。この時、前方(相手のゴール近く)で行なったのか、後方(自ゴール近く)で行なったのかを考慮する必要があります。このケースでは双方とも、成功率は1分の1で100%となりますが、意味合いが異なるため、それぞれのエリアにおけるリーグ平均の成功率を基にします。

リーグ平均成功率が30%のエリアと70%のエリアでは、30%のエリアで通すことの方が難しいため、30%のエリアで通したパスの方をより評価すべきと考えます。これが難易度評価の基本的な考え方です。

母数が不十分なエリアもしくはエリア間のプレーについては、実際の成功率とシュート到達率をそのまま用いると過大もしくは過小な評価となってしまう恐れがあるため、母数が十分なエリアのデータを回帰分析して得られた式を用いてポイントを算出し、付与しています。

ポイントを計算する上でのデータ範囲(サンプル範囲)は2008年シーズン以降のJ1リーグ戦、J2リーグ戦、J3リーグ戦の全試合(リーグ戦のみ)としました。リーグごとに集計し、各リーグの平均値やエリアごとの難易度などを算出しています。その数は総計100万プレー以上という膨大な数値となっています。

ポイント化される項目は以下の通りです。
(1) パス
(2) クロス
(3) ドリブル
(4) 攻撃
(5) パスレシーブ
(6) シュート
(7) ゴール
(8) 奪取
(9) 守備
(10) セーブ

項目毎にエリア定義、プレー定義を紹介します。

パスポイントのエリア定義

(1) パス

味方にボールをつなぐことを意図したプレーをパスとしています。クロスは別途ポイント化しているためこちらには含めません。セットプレーは除かれます。

サッカーにおいてプレー回数が圧倒的に多い「パス」ですが、その評価はエリアや状況によって大きく異なります。CBPではパス出し位置からその到達位置をベースにポイントを生成しました。

パスの成功数とパスCBPを散布図で表すと下図のようになり、パスの成功数そのものが近い値だったとしても、CBPのロジックから算出するとその評価も大きく変わることが分かります。

パスCBPとパス成功数

クロスポイントのエリア定義

(2) クロス

グラウンドの3分の1を越えたペナルティエリア両脇の延長線の外から出したパス、もしくは、ペナルティエリア内でもゴールエリアの縦のラインより外側から出し、ペナルティエリア中央付近を狙ったパスをクロスとしています。パスと同様セットプレーは除かれます。これまでのエリア定義よりもさらに細かくしました。

ドリブルポイントのエリア定義

(3)ドリブル

相手を抜こうとする、もしくはかわそうとするプレー。相手と対峙していない状況下でボールを運ぶプレーはドリブルとしていません。こちらもエリア定義を変更し、パスと同様にしました。

(4)攻撃

上記のパス、クロス、ドリブルのポイントの合計値を攻撃ポイントとして掲載しています。

(5)パスレシーブ

今年より新設したパスレシーブポイントはパスと同じ定義ですが、パサーではなくパスの受け手にポイントを付与しました。パスを成功させるためには出し手だけではなく受け手のポジショニングも重要です。それを評価する上での一つの手段としてご活用ください。

シュート・ゴールポイントのエリア定義

(6)シュート

シュートのポイントは以前より掲載しておりましたが、今季よりシュートによるゴールのポイントと枠内シュートのポイントに分けました。こちらは枠内シュートを評価するポイントとなります。ただしセットプレーや2m未満の距離で相手DFなどにブロックされたシュートは除いています。またエリア定義も以前より細かく分類しました。

(7)ゴール

シュートによってゴールとなった場合のみをポイント化しました。エリアの定義はシュートと同様ですが、こちらはペナルティキック、フリーキック、コーナーキックから直接決めたゴールも含めています。

(8)奪取

相手のプレーに対する評価としてこれまでは守備ポイントとセーブポイントを掲載していましたが、これに奪取ポイントを加え且つ過去の2種類もロジックを変更しました。

奪取ポイントは相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションからボールを奪い自チームの攻撃につなげたプレーに対してポイントが付与されます。ポイントは相手のパス、クロス、ドリブルなどのアクションの失敗確率から算出されるため、相手チームがパスを通しやすいはずの高い位置でボールを奪うと高いポイントがつきやすくなります。能動的にボールを奪いに行っているにも関わらずこのポイントが低い場合、意図した位置でボールを奪えていない可能性があります。

(9)守備

守備ポイントは相手のプレーの成功(味方へつなぐ、もしくはゴール)を阻止した場合に、成功していれば攻撃側に付与されていたポイントがそのまま守備側に与えられます。よって味方ゴールに近い方が高いポイントが付きます。奪取と違いマイボールにならなかったとしてもポイントとなりますので、クロスボールをクリアして相手にコーナーキックを与えたとしてもクロスを阻止したポイントが加算されます。守備ポイントが高いということはそれだけ相手に攻撃されているとも言えますので、守備をどういう軸で評価するかによって、奪取ポイントや失点も加味したほうが良い場合もあります。

(10)セーブ

相手のシュートに対して、ゴールキーパーがキャッチまたはパンチング等で防ぎ、ゴールに至らなかったプレーをセーブとしています。エリア定義はシュート、ゴールポイントと同じものとし、ゴール失敗率からポイントを算出しています。

サイトに掲載されているCBPは過去のシーズンのデータも含め、すべてこちらの計算方法に差し替えた数値となっています。

今後とも、Football LABをよろしくお願いします。

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