HOME » J1昇格プレーオフ決勝 ―歓喜か悲劇か―
両者の降格決定から約1年。J1昇格の残り1枠を争うのは、リーグ戦3位の名古屋と同4位の福岡となった。J2最終決戦。その展望をデータを使って見ていきたい。
図表1
リーグ戦では22チーム中で最多の85得点と圧巻の攻撃力を見せた名古屋。パス数は1試合平均615本で成功率は82.2%(ともにリーグ2番目)。距離別でその内訳を見ると、ショートパスは全体の70.3%とリーグ最高で、ロングパスは6.0%と最低であった。パスをつないで崩していく彼らのスタイルを象徴しているといえる。しかし、プレーオフ準決勝におけるロングパスの割合は11.4%と、ハイプレスを回避するためとはいえ、相手に合わせて対応する柔軟さを披露したことは特筆すべきだ。その中心にいるのはガブリエルシャビエルだろう。図表1に示すように後半戦で奪ったゴールの半数近くに関わり、シュートまでの5プレー以内に絡んだ回数も最多であった。また、彼らのフィニッシュの形として目立つのがクロスで、クロスから3プレー以内のゴール数は33でリーグ最多。クロスを受けた位置を表した図表2を見ると、2/3近くをニアサイドで受けていることがわかる。リーグ最少失点の相手の守備をどのように崩すのか。
その攻撃力とは対照的に、守備に目を向けると失点数は17番目となる65。特に、ボールロスト後にそのままシュートを打たれた回数は260でロスト総数の8.8%と、それぞれリーグでワーストであった。攻撃から守備への切り替えは注視したい。
図表2
対して、福岡は勝利が必須であるだけに、どのようにゴールを奪うのかがポイントだろう。特に、チームの総得点の46.3%に関与したウェリントンにどのようにボールを供給するのか。その中で、クロスから3プレー以内のゴール数は24でリーグ3番目。図表2に示すように、ホームチームとは逆にファーサイドでクロスを受けることが多く、とりわけウェリントンは83.1%をファーサイドで受けている。彼の敵陣ペナルティエリア内での空中戦数は175とリーグ最多であり、勝率は63.4%に達するなど、横からのボールでエースに良いボールを供給したい。
また、アウェイチームの得点の半数近くはセットプレーから生まれている。CKとFKで8アシストを記録しているのは駒野で、最も多くCKのターゲットになっているのはウェリントンであった。
今季の2回の対戦では、ホームで戦ったチームがそれぞれ3-1で勝利を収めた。また、今季の名古屋と戦った2試合で、福岡のウェリントンが出場停止で不在であったことを記しておく。
2017年のJリーグで最後の試合となる大一番。歓喜を手にするのは名古屋か、福岡か、果たしてどちらとなるのか。
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