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終盤の失点が大幅に減少。躍進するセレッソ大阪
2017-07-14 18:00 RSS

18節を終えた段階で首位に立つなど、苦戦が予想されたプレーオフからの昇格チームとしては、大方の予想を上回る好成績を収めているC大阪。得点はリーグで2位、失点は3番目に少なく、今季は攻守両面のバランスが非常に良い。あえて「今季は」と記したのは、昨季は守備面に難ありと評されていたからだ。得点はリーグで3位だったが、失点の多さはリーグの中位。しかも、J2での結果なので「ましてやJ1では……」と考えてしまうのは、申し訳ないが必然ともいえる。

終盤(残り30分)での失点が昨季は30。総失点のおよそ3分の2にあたり、76分以降では18失点を喫していたが、今季は同時間帯での失点がそれぞれ4(総失点の4分の1)、1と大きく改善されている。1試合平均失点の全体数に対する各時間帯の割合を見ると、その差は歴然。被シュート数が増える終盤でも、ブロック率の上昇や被シュート枠内率の低下といった数値が表れており、ここが改善したことでトータルの失点数も非常に少なくなった。


懸念事項であった守備の安定化に一役買っているのが新加入のマテイヨニッチ。ここまで全試合にフル出場し、クリア数や自陣での空中戦勝利数ではチームトップを記録。エアバトルの強さはセットプレーでも発揮され、4得点を挙げるなど、存在感を示している。

中盤を締めるのはソウザと山口蛍。リーグトップのタックル数を誇るソウザと読みに優れた山口の組み合わせはとても理にかなっている。J1屈指のダブルボランチがディフェンスを支えているのは疑いようもない。

山口がC大阪に復帰したのは昨季途中(21節)から。彼の加入は好材料にはなっただろうが、21節以降の成績が劇的に向上したのかといえば、決してそうではなかった。互いが個人で守備をしているような状況で、ソウザが終盤にガス欠を起こす場面も散見。それを改善に導いたのが、鳥栖でも実績を残している尹晶煥だ。昇格したチームが監督を代えるのは、プレーオフ導入後においては全15チーム中で初めてのことである。



新指揮官は、まずチームに規律をもたらし、組織で守備をすることを提唱。90分を通して集中力を切らさないようにし、球際でもファイトする姿勢を強く打ち出した。昨季よりもボールに寄せる意識が高まったため、試合終盤でもシュートブロック率が向上したのは前述のとおり。さらに、1試合平均タックル数や成功率も上昇。チームでの守備が先のボランチ2人のスタッツを押し上げたといっても過言ではないだろう。監督交代という大胆な策とその手腕が奏功した格好だ。

また、終盤の戦い方という意味では、最終ラインの枚数を増やして守備ラインを下げるなど、明確な戦術を提示することでチームの意思統一を図ることにも成功している。

加えて尹晶煥はもう一手、大胆な策を講じた。これまで守備的な位置でプレーをする機会が多かった山村和也をトップ下へとコンバート。この奇策とも思われた采配が見事に的中した。豊富な運動量を生かした前線からの守備はもちろん、攻撃面でも杉本健勇に次ぐチーム2位の7得点をマーク。ロングボールのターゲットとなるだけでなく、FW顔負けのドリブルからアシストを記録した試合もある。期待以上の働きを見せているといっていいだろう。

もともと前線にはタレントをそろえているだけに、不安視されていた守備の改善がなされた今、上位戦線に名を連ねているのは当然とも思えてくるから不思議である。さらに、柿谷曜一朗、清武弘嗣らがベストのコンディションで臨めるようになれば、これまで以上に優位な戦いができるだろう。今季、過去のクラブ最高順位を上回る可能性は、大いに高まっている。


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