HOME » 【ACL】広州恒大vs川崎F、交代タイミングによるデータ変化
今節のAFCチャンピオンズリーグは日中対決が3カード実現。その中からこの数年で2回のアジア制覇を果たし、名実ともにアジアのトップクラブとなった広州恒大と川崎フロンターレの一戦をプレーデータから振り返ろう。川崎Fはシーズンオフに監督交代、主力選手の入れ替えがあり、加えて負傷者の増加と過密日程という状況下で厳しい試合が続いているが、黒星はなく、勝点を獲得している。この日も難しいゲームとなったが、修正を繰り返しながら最後に勝点1を持ち帰ることに成功した。
川崎Fの交代タイミングを基準に、この試合を大きく3つに分けてデータをまとめた。1つ目は試合開始から板倉滉が下がり、森本貴幸が入る前半33分30秒まで。広州恒大のプレスに苦しみ、川崎Fはボールを回せずに低い位置でのロストが続いた。この時間帯における自陣でのボールロスト割合は29.4%。攻撃的な選手へボールが渡ってもその先がなく、後方の選手へのパスが目立っている。そして、前半26分にロングカウンターから広州恒大に先制を許した。この試合でトップ下に入った中村憲剛だが、高い位置でボールを受ける機会は少なく、ハーフウェーライン付近でのプレーが中心に。左サイドハーフで出場した大島僚太は、理想としては左でボールを受けてオーバーラップした登里享平へスルーパスを送るような場面を作りたかったのだろうが、そのようなシーンは演出できず。中へのプレーが増え、前半33分30秒での選手交代から配置変更を行った。
この時間帯までは敵陣での守備プレーが目立った広州恒大だったが、以降の時間帯は守備プレーのエリアが後退。アタッカー陣の守備が弱まり、最終ラインとボランチに任せるような形となったため、川崎F側から見ると、少しずつパスを回しやすい状況となった。
前半33分から井川祐輔が負傷交代するまでの約30分間。大島がボランチに入り、少しずつボールの動きが改善された。左サイドバックとなった車屋紳太郎が相手の裏を取れるようになり、ここからいくつかのチャンスを創出。後半に入ってからは、中村のプレー位置が上がり、特に敵陣中央左寄りでボールを触る機会が増えた。全体的に中央からペナルティエリアを狙うシーンが増加したが、最後の場面で相手の守備に遭い、ゴールを奪うには至らず。
後半14分10秒に負傷した右サイドバックの井川に替えて長谷川竜也を投入。本来のポジションとは異なる左サイドバックでの起用となり、登里は右へ。車屋が再びセンターバックとなった。試合の流れが変わってもおかしくない状況だったが、広州恒大側の守備に大きな変化はなく、引き続きボールを保持する展開が続いた。前の時間帯と同様に中央からのペナルティエリア攻略に重点を置き、トライを続けた結果、終盤に相手のハンドを誘ってPKを獲得。これを小林悠が冷静に決めて同点に追い付くことができた。
ボールを奪ってからのデータを見ると前半33分30秒の前後で大きく変わっている。特に、広州恒大はこのタイミング以降、ボールを奪っても5秒未満で相手に攻撃権を与えてしまうケースが3割近くにまで上がり、前半序盤のような危険な攻撃が減少。川崎Fはこれまでのグループステージでの結果を考えると、勝点3が欲しい試合ではあったが、難しい展開から入った試合を修正しつつ、敵地で勝点1を得たことは今後のチームにとっても大きなプラス材料になるのではないだろうか。アジアの巨人を相手に、次節のホームゲームでは確実に勝点3を奪いたい。
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