HOME » 浦和vsG大阪の前半、遠藤保仁が消えた理由
近年、浦和レッズとガンバ大阪は激しいタイトル争いを見せており、本年も2ndステージの今後を占う上で重要な一戦であった。そして最近のこの時期の同カードはG大阪が勝利を収めることが多く、浦和にとってG大阪は天敵となっていたが、10/1(土)に行われた試合ではこれまでの鬱憤を晴らすかのごとくゴールを沈め、4-0と快勝。この点差は後半途中に退場者を出したことも影響しているが、この試合では前半からG大阪に異常が起きていた。象徴的存在である背番号7・遠藤保仁が消えていたのである。
前半のデータを振り返ってみよう。G大阪の前半のボール支配率は41.1%と低い数値となった。そしてG大阪のボール支配時の平均ポジションとパス交換は下図の通りとなった。
G大阪が支配している状況での平均ポジション
G大阪のパスといえば遠藤というイメージがJリーグファンには定着しているだろう。だが、この試合の前半で最もパスが多い選手は丹羽大輝となった。前半での遠藤のパス受けは15本。これは今季遠藤がスタメンで出場した試合の中では最も低い数である。
遠藤スタメン出場時の前半のパス受け数とチームの自陣支配時間
ボール支配率が低い影響はもちろんあるが、自陣におけるボール支配時間は他の試合と比べても低いものではなかった。ではなぜ遠藤はパスを受けられなかったのか、ここからはトラッキングデータも含めて紹介しよう。
前半、自陣にて遠藤以外のG大阪の選手がパスをした際に、遠藤の周りにはどれくらい浦和の選手がいたのか、そして誰がいたのかを表しているのが右の表だ。パス2本につき1本のペースで遠藤の5m未満に1人浦和の選手がおり、10m未満になると2人で挟めるよう確保している。遠藤に最も近いポジションにいた選手を見ると1トップ2シャドーの選手がランキングに入るのは自然だが、最も割合が多かったのは3列目の柏木陽介。そして同ポジションの阿部勇樹も近い位置を取っている。これによりG大阪は遠藤にパスを出しにくい状況となっていた。
遠藤にボールが渡りパスを出す際は、上記とは違うデータ傾向が表れた。遠藤の自陣でのパスで最も近くにいた浦和の選手はトップの興梠慎三だ。ある程度距離を置いたところからハイスピードで近寄るケースもあり、5回中3回は20km/hを超えるプレッシングを記録している。また遠藤がパスを受ける前後3秒の走行距離のトップ5は井手口陽介を除き浦和の選手の名前で埋まった。この試合のチームの総走行距離はG大阪の110.76kmに対し浦和は116.309km。出足の早さの積み重ねが生んだデータの差といえるだろう。
この試合の前半で遠藤は4回のボールロストを記録。特に前半19分でのロストはまさに上記データを象徴するシーンだった。
前半19分のシーン①
丹羽からのパスを受けた遠藤だったが、周囲は興梠、高木、阿部、柏木に囲まれている状況。
そして興梠のプレッシングとともに圧縮し遠藤はパスを送ることができず、結果こぼれ球を柏木が拾って浦和の攻撃となった。
前半19分のシーン②
後半、G大阪は配置を変えて反撃に転じようとしたが、早々に浦和に加点を許し、退場者まで出してしまった。終盤の勝負弱さに悩まされていた中で得た勝点3は、浦和にリーグタイトルをもたらす布石となるのか。残り3試合+チャンピオンシップでの戦いに視線は釘付けだ。
浦和vsG大阪 マッチレポート
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