HOME » 金崎夢生 渡欧前後データ比較~鹿島加入後に増えた数値は?
2015年の鹿島アントラーズに欠かせなかった選手と問われれば多くのサポーターが金崎夢生の名前を挙げるだろう。タイトルこそJリーグヤマザキナビスコカップのみとなったが、チーム内で唯一ベストイレブンを受賞し、日本代表にも復帰を果たした。このオフ、一時は退団が決まり金崎の穴をどう埋めるかが課題となったが、2月下旬に再加入が決まり自らが埋める形となった。
昨年以降のプレーを見ても分かる通り、ドイツ、ポルトガルでのプレーを経て金崎のスタイルは大きく変わった。本コラムでは渡欧前の2012年に名古屋でプレーしていた時のデータと、昨季の鹿島でのデータを比較し、金崎の変化がどう数値で表れているのか紹介しよう。
※プレー、シュートデータは90分換算した数値
2012年の金崎はほぼサイドでプレー。一方、2015年の金崎はトニーニョ・セレーゾ監督時はサイド起用が多く、石井監督就任後にFWで起用されるようになった。使われるポジションが最前列となったことでゴール数が増えるのは自然にも見えるが、他のデータを見るとそれだけではないことが分かる。FW起用時もサイドに流れることが多いため、プレーエリアもサイドの比率が高い。一方でシュート数は約2倍近く増加。特にペナルティエリア外からのシュート比率が高くなっており、シュートへの意識が強くなっている。
※パス数データは90分換算した数値
90分平均のパス数に大きな変化はないが、前方へのパス比率が増加。シュート同様に攻撃への意識の強さが見て取れる。ここまでは全体的に良いデータが並んでいるが、敵陣でのドリブルやキープの成功率が大きく下がっている。この点については後のデータも踏まえて説明しよう。
※データは90分換算した数値
次の表ではタックル、ファウル、空中戦といった接触プレーをまとめた。この表のデータを見ると別人のように変化していることが分かる。空中戦については、2012年の名古屋には元オーストラリア代表のケネディが在籍しており、不在時には闘莉王がFWで起用されたシーズンであったため、金崎は競る側というよりはボール供給側であった。鹿島ではFWで起用されているため、空中戦の回数そのものが増えるのは自然だろう。そのような中でも空中戦勝率は約7%上昇している。地上戦の中ではタックル数の増加に注目したい。鹿島の攻撃のキープレーヤーであるため、被タックル、被ファウルが増えることに違和感はないが、FWでありながらタックルが増えているのは、意識の変化の一つと言えそうだ。
この接触プレーの増加が一つ前のキープ・ドリブル成功率の減少につながっている。円グラフには敵陣における金崎のキープ・ドリブルの結果が相手ボールとなったものを細かく分類した。キープ・ドリブル時に相手の守備にあった割合は大きく増加。逆にキープ・ドリブルがそのままアウトとなったり、相手が容易にプレーしたりしたケース(相手が比較的コントロールできる状況でトラップ、パスを出したケースなど)は減っており、同じキープ・ドリブル失敗でも理由が変わっている。
2012年までの金崎は2015年と比較すると接触や縦への意識がそこまで強くなくセーフティーなプレーをする傾向にあったが、現在の金崎にその姿はなく失敗を恐れないプレーをしている。先日の代表戦で見せてくれたゴールへの強い意欲は、現在の金崎そのものであった。今後のJリーグの試合では金崎へのマークがさらに厳しくなることが予想され、ボールをロストする回数も増えるかもしれない。その状況を敗戦につなげないようにするためには、鹿島の他の選手のさらなる成長が必要になってくるだろう。そこが噛み合えばリーグタイトルの獲得も見えてくるはずだ。
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