HOME » 『松本山雅スタイル』を体現する漢、田中隼磨
スローガンに「ONE SOUL」、サブスローガンに「走破!その先を目指して」を掲げ、J1の舞台で戦う松本山雅FC。明治安田J1 1st第9節までのトラッキングデータとプレーデータから、そのスタイルのキーマンを探る。
まず、第9節までのチーム別の1試合平均走行距離を見てみよう。
松本は115.50kmで3位となっている。1位の湘南と2位の横浜FMには及ばないものの、他のチームに対しては十分に走り勝っているといえる順位だろう。
次に、第9節までの選手別の走行距離トップ10を見てみよう。
まず目に付くのが、1位の岩上祐三だ。9試合で108.38kmと、全選手の中で唯一1試合平均の走行距離が12kmを超えるという、とてつもない数字をたたき出している。
そして、5位にランクインしているのが田中隼磨だ。右膝外側半月板損傷から復帰したばかりとは思えないほどの走りで、こちらもすでに100km以上を走破し、チームをけん引している。
次に、第9節までの選手別のスプリント回数トップ10を見てみよう。
こちらのランキングでも田中隼磨が5位につけている。スプリントは体への負荷が高く、このランキングで上位に入るのは並大抵のことではない。年齢的に見ても、トップ10の中で30代の選手は田中隼磨だけだ。
彼の節別の走行距離とスプリント回数を見ても、9節のうち7節で「走行距離11km以上、スプリント回数20回以上」を達成しており、うち2回は「走行距離12km以上、スプリント回数30回以上」を記録するなど、極めて高いレベルで数値が安定している。
最後に、プレーデータの面からも田中隼磨のすごさをお見せしたい。
以下の表は、今季のJ1における選手別のタックル成功数のランキングだ。(第9節終了時点)
なんと、リーグ屈指のボール奪取能力を持つといわれるレオシルバ(新潟)と並び、タックル成功数35回で全選手中トップに立っている。これは、日本代表候補に選出された米本拓司(FC東京)をも上回る数字である。
昇格組の松本がJ1の舞台で戦うにあたっては、守備に追われる時間が長くなることは避けられない。しかし、その一方でどこかで攻撃に転じなければ勝ち目はない。それも、良い形で守備から攻撃へ移ることが必要となる。その点で、相手のボールホルダーにプレッシャーをかけてマイボールに変え、スプリントを繰り返し、試合終了まで走り続ける田中隼磨のプレーは、まさに『松本山雅スタイル』を体現しているといえる。
第11節終了時点では、14位の松本。田中隼磨を筆頭に、彼らが走り続けるその先には、きっとJ1残留が、そしてそれ以上の未来があるだろう。
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◆関連リンク
松本山雅FC シーズンサマリー
田中隼磨 選手データ
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2024-11-04 15:10
2024-03-27 09:55
2023-12-05 12:45