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コラムColumns【2014シーズンレビュー】Jリーグ・アンダー22選抜。

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【2014シーズンレビュー】Jリーグ・アンダー22選抜
2014-12-18 18:00 RSS

若手選手への実践経験の機会の提供および育成強化を目的に、J3リーグとともに船出を切ったJリーグ・アンダー22選抜(以下J-22)。開幕前から注目を集めた彼らだったが、その試合を見た方は少ないのではないだろうか。

今回はポジション別に選手を見ながら、彼らの1年をデータとともに振り返りたい。


■GK

出場選手12人のうち、今回は出場数が3試合以上の10選手をピックアップ。試合ごとにディフェンスラインの陣容が違うほか、前後半で選手が入れ替わるなど、普段以上に統率力や対応力が求められたポジションだったといえるが、その中でも山田 元気(京都)と吉丸 絢梓(神戸)は高い数字を残している。

山田は4試合に出場し、失点は開幕戦の1点のみと、才能の一端をうかがわせる。ただ、後列から攻撃を組み立てる傾向にあったJ-22において、ゴールキック成功率の低さはネックであり、今後の課題といえるだろう。

吉丸は13年のJユースカップ優勝の実績を引っ提げ、今季から神戸のトップチームに昇格した選手。図のデータのほか、ワンタッチパスの成功率がGKの中でただ1人9割を越えていることからも、足下に対する自信が見える。失点の内容はミドルシュートから1点とセットプレーの混戦から2点。一対一の場面でも落ち着いた対応が目立ち、得意とする近距離の間合いでは、流れの中からゴールを割らせていないことは評価できる。

■DF
DFは24人が出場。ビルドアップで非凡な才能を見せる選手が多くいた反面、63失点というリーグワーストの失点数からもわかるように、特にミスが目立ったポジションでもあった。その理由は後述するとして、ここでは個々のスタッツを見ていきたい。

タックル成功率で低い数字となっている木下 高彰(磐田)は、1試合平均のタックル数も1.4回と8人の中で最も少ない。ただ、1試合平均のボールゲイン(相手チームの攻撃から自チームの攻撃に切り替わる最初のプレー)は14.8回で最も多く、インターセプト数はトップの数字だった。彼の場合、状況判断と先を読むポジショニングに優れているため、ボディーコンタクトの前の段階でボールを奪えていたというわけだ。

空中戦では、ハーフナー ニッキ(名古屋)が前評判通りの強さを見せた。46回の空中戦で勝率は8割を越え、2節の藤枝戦ではヘディングシュートでゴールを奪っている。ただ、他の内容を見ると、出場7試合で警告4枚の22失点。失点は彼だけの責任ではないものの、ボールを持ったFWに突っ掛けたり、簡単に裏を取られたりと、失点に直結するようなプレーが少なからずあったのも事実だ。

サイドバックでは、内田 裕斗(G大阪)がタックルとドリブルの成功率で高い数字に。積極的なオーバーラップによる攻撃参加が目立ち、アタッキングサード進入の数はトップだった。その内田にスタッツで劣る森川 泰臣(熊本)だが、アシストは5試合の出場で2回記録しており、この数字を上回る同じポジションの選手はいない。速さはないがセンターバックとサイドバックをこなせる多芸なDFであり、32節の鳥取戦では右サイドからの絶妙なスルーパスで決勝点をお膳立て。熱い抱擁で喜びを表現するなど、準備期間の短いJ-22にあって雰囲気を変えられる貴重な選手ともいえた。

■MF
MFは42人が出場。ディフェンシブハーフでは、やはり秋野 央樹(柏)と小林 祐介(柏)の柏組が高い数字を残す。小林は1試合平均のシュート、ドリブル、タックル、ボールゲインの数でも10人の中でトップの数字だった。他方、大山 啓輔(大宮)はラストパスとスルーパスの数が最多。単にパスを出すだけでなく、そこから動き直してリターンをもらうなど、周囲と自分を生かす技術が目を引いた。

オフェンシブハーフでは、平岡 翼(F東京)のシュート決定率の高さが際立つ結果となった。シュートを5本以上打った選手に限れば、リーグ全体でも堂々のトップの数字だ。得点の内容を見ても、多くは来たボールを合わせたものでなく、自分から仕掛けて決めたもの。26節と30節の得点はJ1でもそうそうお目にかかれない、漫画張りのゴールだった。彼の雄姿をJ1のピッチで見られる日も、近いことだろう。

加賀美 翔(清水)と金子 翔太(清水)は同時に招集されることが多く、J3リーグの舞台で連係を高め合った選手といえる。5節のYS横浜戦では加賀美が先制点を挙げると、終了間際にはその加賀美からのパスを金子が押し込み、アベックゴールを達成。ちなみに、清水はJ-22の最大勢力であり、勝利後には三浦 弦太(清水)が音頭を取って全員で「勝ちロコ」を踊ることもあった。

■FW
FWは19人が出場。その中で最多の得点を挙げたのは、三根 和起(京都)だ。190センチの長身を武器に空中戦で強さを見せ、敵陣ペナルティエリア内での勝率は80パーセントを越える。また、25節の盛岡戦ではキックフェイントからノーステップでシュートを決めるなど、足下のうまさも目立った。

ケガの影響もあって3試合の出場に終わった小屋松 知哉(名古屋)だが、京都橘からやってきたルーキーは3試合で2点を挙げ、ポテンシャルの高さを見せた。スピードに乗った状態でのボールコントロールに優れ、トラップ成功率は平 秀斗(鳥栖)に次ぐ2位。また、1試合平均のアタッキングサード進入の数ではトップの数字だった。世代交代を進める名古屋の選手であるだけに、復活を期する来季に期待がかかる。

■総括
J-22が下位に沈んだ要因に、失点数の多さがあった。その理由には、当然準備期間の少なさがあるだろう。総失点の25パーセントを占めたセットプレーを見ても、競り負けるというより連係のミスからマークが外れ、簡単にシュートを打たせてしまう場面の方が多かった。こればかりは一朝一夕で解決する問題ではないものの、一定の期間は固定の選手を招集するなど、チームに継続性を持たせる努力がなされていたことは補足しておきたい。

アジアでの戦いで苦戦が続くアンダー世代の日本代表。その強化を目的に創設されたJ-22においても、「テクニックはあるが、試合には勝てない」という課題は当てはまった。実際、野津田 岳人(広島)、石毛 秀樹(清水)、植田 直通(鹿島)などU-21日本代表の面々が招集された試合でも、金沢に勝てていない。「集まってすぐの若いチームには負けたくない」という思いは、他のチームが当然に抱くもの。その気迫を乗り越える強さは実践経験を通してでしか得られないものであり、J3リーグの試合から身に付けてほしいものでもあった。


Football LAB 渡邊

■関連リンク


Jリーグ・アンダー22選抜・シーズンサマリー
http://www.football-lab.jp/j-22/

2014-12-18 18:00 RSS
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