HOME » プレーデータ分析~今後を占う大一番 川崎Fvs浦和~
スターティングメンバーとフォーメーション
「642本」
これは19節が終了した段階で川崎Fが出したパスの1試合平均の本数だ。リーグでも屈指のパスサッカーを披露していることは、この数値が18チーム中でトップであることからも分かるだろう。その彼らは、19節で浦和との大一番に臨んだ。互いにポゼッションを志向する両者の激突を、データを使って振り返ってみたい。
図2:ディフェンシブサードでのボールロスト数
開始直後に両者に得点が生まれたこの一戦では、川崎Fにとってこれまでとは異なることが2つあった。1つ目はボールを失ったエリアだ。浦和が前からボールを奪いにきたこともあり、ディフェンシブサードでボールを失う場面が9回も見られるなど、とりわけ序盤は相手のプレスにうまく対応できなかったのは確かだろう。図2に示したように、18節までの平均が4.2回だったことを考えれば、この値がいかに高いかが分かるはずだ。
2つ目がパスを出した本数である。アウェイチームもポゼッションを得意としていたため、無理に奪いに行くことはせず、後方にブロックを作り対応。その結果として、この試合でのパス数は455本と、冒頭の数字と比べると200本近く少なかったのだ。500本を下回ったこと、相手よりパスの本数が少なかった試合はどちらも今季初のことであり、普段より守備をする時間が長かったことは間違いないだろう(図3)。
図3:試合別のボール支配率とパス数の割合
図4:川崎Fの縦パスとパス交換
とはいえ、「彼ららしくなかった」かと言えばそこは異なる。時間の経過とともに相手のプレスにも慣れてきたことで、ボールを保持した時は大黒柱の中村を中心に攻撃を構築。彼と大島が近い距離でパス交換をしてリズムを作っていたことは、両者のパス交換が1位と2位でそのパスの距離が短いことからも読み取れる。さらに、機を見ては急所を突く縦パスを入れることで、彼らは何度もチャンスを演出していた(図4)。
また、図5に示したように、2ndエリアでのパスとトラップの成功率を見るとそれぞれ非常に高く、相手のプレッシャーが厳しい場所でも普段と変わらずにボールを保持できていたことが分かるだろう。
図5:2ndエリアにおけるパス、トラップのデータ
この試合を制したことで首位と1ポイント差に肉薄した川崎F。自らがボールを持った時に確実にゴールに迫り続けることができれば、悲願のタイトルも近付いてくるのではないだろうか。
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2024-11-04 15:10
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