HOME » データでひも解くW杯 -ボールキープに見る日本とコートジボワールの違い-
[表1] 時間帯別ボール支配率
「自分たちのサッカーが表現できなかった」
コートジボワールに敗れた後に、このような言葉を耳にすることは多かったはずだ。そこで実際にピッチ上ではどのようなことが起きていたのか、データをひも解いてみたい。
この試合における日本のポゼッションは41.6%。表1の時間帯別での支配率を見ても、常に相手にボールを持たれていたことが分かる。また、日本がこの試合でボールを持っていた時間は22分09秒。この数字が国内組で臨んだ13年の東アジアカップの3試合を除き最も短いということを考えれば、いかにボールをキープできなかったかが読み取れるはずだ。
それを裏付けるように、パスの成功率は相手が86.3%であるのに対して、サムライブルーは76.7%。とりわけ、2ndエリアと3rdエリアでの低さが目立つ。シュートを23本打たれた一方で9本しか打てなかった原因の1つは、敵陣でうまくパスが回せなかったことにあるといえる。
[表2] エリア別パスデータ
[表3] ボール奪取後の攻撃内でのパス数
さらに、ボールキープという点において違いが顕著に表れた部分が、表3に示したボール奪取後の攻撃内でのパス数だ。コートジボワールは6本以上パスを出した回数が21回と日本の3倍。また、エリア別のパス数を見ると自陣でのパスが非常に多い。低い位置でボールをさばく役割を担っていたボランチのディエは、この試合で1度もパスミスをしないなど、マイボールにした後に老獪なパス回しで日本のプレスをいなしていたことが分かるだろう。この試合での走行距離を見るとコートジボワールが97.23kmであるのに対して日本は108.25kmで、相手ボール時に取りどころを明確にできず走らされ、体力を消耗していたのではと考えられる。
そのパス回しによって躍動したのが右サイドバックのオーリエ。攻撃時に高い位置にポジションを取っていた彼は、前半に4本、後半に3本と90分を通じてゴール前へボールを供給していた。ただし、その中で味方につながったのは後半に上げた3本のみ。ドログバという中央のターゲットが増えたことで、彼の正確なキックがより生かされる結果となったことは確かだろう。
一方で、それによりディフェンスに奔走せざるを得ない状況が生まれていたのが同サイドの香川。守備プレーの回数がこれまでと比べて圧倒的に多かったことは、シュートがわずか1本でラストパスは0と決定的な仕事をできなかった理由の一端ともいえるだろう。チーム全体として守備意識を高く持つことは当然だが、彼の守備の負担を減らすことも求められるのではないだろうか。
日本が得意とするボールをキープして相手を攻め倒すということは、データからも読み取ることはできなかった。ギリシャ戦で求められるものは勝ち点3。ザックジャパンが初戦からどのような変化を見せるのか注目したい。
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