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J3各クラブチームのスタイルは?
2014-04-11 14:00 RSS

今季から創設された明治安田生命J3リーグは金沢と琉球を除いて5節まで消化。Jリーグ全体で見ると多くのクラブチームが増えたため、どのようなチームなのか、どのようなサッカーをしているのか追えていないサッカーファンも多くいるだろう。今回はデータを利用してJ3各クラブチームのスタイルをまとめてみた。なお、選手の入れ替わりが激しいJリーグ・アンダー22選抜についてはまた別の機会で触れたいので、今回は省略させて頂く。

まず、右図に現在の順位表と各チームの平均得失点をグラフ化。最大のサプライズはJFLを経験していない盛岡の躍進だろう。平均得点の高さはJ-22を相手に6得点を記録した影響が大きいが、失点を抑えることで勝ち点を獲得してきた。前節の町田との首位決戦で大敗を喫してしまったが、良いスタートを切っているといえる。昨季までJ2だった鳥取は現在3位。平均得点、平均失点とも1以下で、得点力不足という課題が浮き彫りとなっている状況だ。

■シュートパターン
攻撃面に目を向けてみよう。シュートに至った経緯を分類すると、現在首位にして最もシュートを放っている町田は多彩だ。その中でもセットプレーからのシュート数が多く、割合で見ても2番目の多さなのだが、実はゴールに直結したのは0(セットプレー3プレー以内で見ると1得点)。この点が強化されれば、さらに得点力が増すだろう。他のチームでセットプレーに特長があるのが秋田。約3割足らずのシュートがそこから生まれており、これはキッカーを務めている熊林の存在が大きい。ゴールには至っていないが、フリーキックシュート3本をすべて枠に入れており、そのキックの精度は今もなお衰えることを知らない。

■ボール支配率×アタッキングサードへのパス成功数
続いて紹介するのはボール支配率とアタッキングサードへのパス成功数(試合平均値)。右図の横軸が前者、縦軸が後者となる。集団から大きく離れているのが現在2位の盛岡だ。平均のボール支配率は34.2%。支配率が40%を下回るのはJ1、J2を含めても盛岡のみ。それでも上位にいるのは、徹底した守備の成功と、少ないチャンスをものにした結果だろう。

逆に支配率が最も高いのは秋田で60.2%。1試合の平均パス数は866.8本で、こちらもJ1、J2にはない数値を記録している。J1で最も多いのは川崎Fで698.7本を記録しているが、その川崎Fと大きく異なる点はエリア別の比率だ。川崎Fは敵陣でのパスが全体の55.2%を占めているが、秋田の同データはわずか29.4%で、ほとんどが自陣でのパスとなっている。よって、アタッキングサードへのパス成功数もそこまで多くなく、今のところ相手チームにとって脅威となるポゼッションとはなっていないのが現状だ。

偶然にもここで挙げた盛岡と秋田が今週末対戦する。試合結果はもちろん、どのような支配率になるかも注目したい。

■守備から攻撃への切り替え
守備面と攻撃への切り替えを表すデータとして3つ用意した。

・ボール奪取ライン(m)
ボール奪取位置を平均化し、自陣ゴールからの距離を測った数値だ。最も高い位置でボールを奪えているのが町田、最も低いのが盛岡となっている。

・ボール奪取からシュートに至った割合(%)
ボールを奪ってから同じ攻撃内でシュートに至った割合を表している。

・ボール奪取からシュートまでの平均時間(秒)
ボールを奪ってからシュートに至った攻撃の平均時間を表している。最も短い時間なのが藤枝、最も長いのが秋田となっている。

これらのデータを見てまず気になったのは鳥取だ。平均よりも高い位置でボールを奪えているが、同攻撃内でシュートに至ったのはわずか4.5%でリーグ最下位となっている。平均得点1以下という課題の一つの要因として、奪ってからシュートに至るまでの流れに問題があると思われる。もう1チーム、相模原のデータを見てみると、シュートへの割合、平均時間で町田、金沢といった上位陣に肩を並べているにも関わらず、順位としては下位グループに属している。4節までの相模原のデータはそこまで良い数値ではなかったのだが、前節の秋田戦で相手のパスワークを遮断した後にシュートへ運ぶシーンを何度も演出。この結果により平均値が上昇した。高原という軸となるFWを獲得しただけに、ボールの奪いどころを定め、攻守の切り替えがかみ合えば、今後上位へ進出するかもしれない。

■被シュートパターン
最後に被シュートパターン(対戦相手のシュートパターン)をまとめた。シュートパターン同様にセットプレーに着目すると、首位を走る町田はセットプレーからの被シュートがわずか2本。相手にセットプレーを与えた数そのものはそこまで低くはないが、シュートを打たせないことに成功している。消化試合数が少ないため、他のチームよりも群を抜いて被シュートが少ない琉球と金沢だが、試合平均値に換算しても両者はリーグでも1位、2位の少なさである。特に琉球は、1本PKを与えてしまったことはあるものの、ディフェンシブサードでのファウル数も1試合平均1.25と最も少なく、今のところ効率的な守備に成功している。

簡単ではあるが、以上がデータ紹介となる。5節を終えた時点でもすでに多くの特長や課題が表れているが、この中から良い変化を起こしながら初代J3チャンピオンに輝くのはどのクラブチームか?今後の動向を見守りたい。


関連リンク

得点パターン
http://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j3/?year=2014&data=goal

失点パターン
http://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j3/?year=2014&data=lost

ボール支配率ランキング
http://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j3/?year=2014&data=possession

J3得点・アシストランキング
http://www.football-lab.jp/summary/player_ranking/j3/?year=2014

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