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コラムColumns香川真司のプレミアリーグ1年目を振り返る。

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香川真司のプレミアリーグ1年目を振り返る
2013-05-24 14:00 RSS

19日のWBA戦をもって今季の公式戦を全て終えたマンチェスター・ユナイテッド。昨夏にドルトムントから移籍加入した日本代表の香川真司は、イングリッシュ・プレミアリーグの1年目を20試合出場(スタメン17試合)、6ゴール3アシストという結果で終えた。この1年、「ユナイテッドの香川」はどのような成長と変化を見せたのか?

データで検証するに当たり期間を3つに分けた。上表①の期間(開幕から負傷するまでの間)では、ルーニーが早々に負傷してしまったこともありトップ下でプレー。プレミアリーグ、そしてユナイテッドというチームへの順応が試される期間でもあった。そんな中で10月に負傷し、2ヵ月以上の欠場。12月末に復帰するが、ここからしばらくは厳しい試合日程も重なり、コンディションのコントロールに苦戦。この冬の間を②とし、ハットトリック以降「らしさ」を取り戻してきた3月から閉幕までの期間を③としてデータを比較する。

基本的なスタッツを見ると、負傷明けの②の間はプレー数が落ち、ゴールへのトライも減少していたが、それ以外においては全体的に大きな差はなかった。その中で上昇しているのが、シュートへの関与数。これは味方のシュートから4プレー前以内に香川のプレーが含まれていた回数を示したものだが、終盤の③の数値は、開幕時の①の数値に比べ約1.5回増加。より多くのシュートシーンに絡むようになった。

もう一点右上表で気になったのはパス成功率の低下。ここをひも解くために、さらに細かく見てみると、縦パス数が開幕時に比べ大きく増加していた。序盤は慎重につなぐシーンが多く見られたが、終盤はリスクを負った縦パスを増やし、攻撃に転ずるプレーを見せた。結果的にパスの成功率そのものは下がってしまったが、この積極性は来季も継続し、その中で精度、連係を高めていきたいところだ。

香川の真骨頂といえば、高い位置での味方との速いパス交換。アタッキングサードにおけるワンタッチパスのデータを見ると、1試合当たりの総数は、①7.0、②3.8、③6.3と変化。その中でその成功率は序盤①に比べ終盤③は10%余り上昇した。

その理由は各選手とのパス交換の変化から垣間見ることができる。序盤はアタッカーとのパス交換は少なかったが、終盤になるに連れてその人数は上昇。また、他のアタッカーから香川へのパス供給も増え、終盤にはチームのエースストライカーであるファンペルシーからもボールが来るようになった。

すべての期間において香川へのパス出し、香川からのパス受けの数が多いのは、セントラルMFのキャリックだ。このキャリックと香川のパス交換は、序盤はミドルサード、ディフェンシブサードなど低い位置に多く、アタッキングサードでのパスの割合は10%ほどであったが、終盤では17%に増加。1試合当たりのパス交換そのものの数も増え、ユナイテッドの攻撃を動かす上で重要な役割へと変化していった。

負傷の影響により時間は掛かってしまったが、終盤には「らしさ」を見せ始め、プレミアリーグ1年生としては及第点を得た。来季はモイーズ新体制となり、チーム全体としても例年以上に結果にこだわりたい1年となる。選手の入れ替わりも予想され、ポジション争いも待ち受けているだろう。ブラジルW杯も控える来季は、香川のキャリアにとっても勝負のシーズンとなるに違いない。


■関連ページ

・香川真司マッチレポート (5/19 ウェストブロムウィッチ戦)
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