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コラムColumnsロンドン五輪 『なでしこJAPAN』 銀メダルまでの軌跡。

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ロンドン五輪 『なでしこJAPAN』 銀メダルまでの軌跡
2012-08-17 15:00 RSS

ロンドン五輪女子サッカー『なでしこJAPAN』。
金メダルには届かなかったものの、メダルを逃した4年前から大きく成長したチームは見事銀メダルを獲得した。今回のコラムでは、決勝トーナメントの3試合を振り返りながら、その中でも特に活躍が目立った選手について考察してみようと思う。

●巧みに試合を運んだブラジル戦
ブラジル戦のボール支配率は、日本の36%に対してブラジル64%。シュート数でも、日本の10本に対してブラジルは19本と倍程度となっている。しかし、ブラジルが放ったシュート19本のうち8本をブロックし、枠内に飛んだシュートをわずか3本に抑えるなど、この試合では日本の固い守備が機能していた。一方で、澤の素早いリスタートからの大儀見のゴール、左サイド鮫島を起点にしたカウンターからの大野のゴールなど、少ないチャンスを確実にゴールに繋げることができた。ボールを支配される中で、カウンターからゴールを奪い守り切るという、男子U23のスペイン戦にも通じる試合巧者ぶりが見られた試合だったように思う。


●神がかった守備で耐え抜いたフランス戦

後半残り30分が長く長く感じたこの試合。データでも、アタッキングサードでのプレー数が日本の48回に対しフランスは201回、さらにシュート数も日本の6本に対しフランス36本と、非常に厳しい戦いであったことが分かる。13本もの枠内シュートからゴールマウスを守ったGK福元は間違いなくこの試合のMOMだろう。


●最後に個の差が出たアメリカ戦
敗れはしたものの試合内容は決勝トーナメントで最も良かった。ボール支配率、全プレー数ともにアメリカを圧倒しその強みであるパスサッカーを披露してくれた。一方でシュート数はアメリカの方が多く、2得点のロイドやモーガンなど個でシュートまでいける選手の存在が大きい。組織として充分に機能していた日本ではあったが、状況を打開する個の存在の有無が、最終的な勝敗を分けたのではないだろうか。



さて、続いて、予選から6試合を通した各選手のスタッツを見てみよう。今回はなでしこJAPANの引っ張った2人のリーダー、宮間あや と 澤穂希のプレーデータに注目した。



代役なき攻撃の中心、宮間
オリンピック6試合の攻撃に関するデータを見てほしい。パス数がチームトップの宮間だが、中でもアタッキングサードへのパス、スルーパスを最も供給している。加えて、ボールキープ時間も中盤の選手で最も長い。ボールの収まり所であり、かつパスの供給源となっていることがデータからも分かる。敢えて課題を挙げるとするならばパス成功率が67.8%(チーム平均76.8%)と低いことだろうか。(ただし宮間はロングパス比率が高いことがその要因の一つではあるが)

●澤の守備への多大なる貢献

次に、守備に関連するデータを見てほしい。澤はインターセプト・ファウルの回数がチームトップ、タックル・空中戦の回数がチームで2位であった。前述したように今大会はボールを試合される展開が多かったが、彼女の運動量の多さは目立っていたように思う。その中でも、インターセプトの多さはパスコースの「読み」のセンスの結果だろう。試合展開の中で、自分の役割を理解して、勝負に徹することができる彼女の存在の大きさを改めて感じる。

2人のリーダーを中心に銀メダルという成績を残した、なでしこJAPAN。澤の進退にも注目が集まるが、4年後に向けて、どのようにチームが進化するのか、非常に楽しみだ。


Text by 木野本朋哉

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