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CBPでチームの攻撃特性を見る〜J2CBPランキング
J1編でCBPランキングに基づくチームの特徴紹介をしてきたが、J2でも同様の分析をしていく。
もう一度、簡単にCBPの解説を。
CBP=Chance Building Pointは、「シュートに結びつく効果的なプレーをどれだけ行ったか?」という観点から、選手・チームを評価する指標として独自のロジックを用いて開発したものである。詳細は「CBPとは?」を参照して頂くとして、このCBPのポイントは「シュートに結びつくプレーの評価」という点。CBPが高い選手・チームほど「シュートに繋がるプレー=効果的な攻撃」を展開することが出来ていると解釈できる。
まずはJ2第8節が終わった時点での順位表、勝ち点、得点の表を見てみよう。
<J2第8節終了時点の順位表&CBP表>
ここでいう「攻撃CBP」は初回のコラムで紹介したチームにおけるパスCBP、クロスCBP、ドリブルCBPを合計したものであり、この数字が多いほど、シュートに到達しやすいプレイをチームがしていることを表している。今回は攻撃力を評価する際に重要なプレイであるパス、クロス、ドリブルの3つの指標を見ながら、各チームの特徴をつかんでいこうと思う。
<①パスCBP個人ランキング>
<① パスCBP=ポゼッションでのチャンス構築力:京都が下馬評通り1位を獲得>
続いてパスでのCBPで最も高いチームは京都で125.52P。大木体制2年目で、パスサッカーが熟成し始めていることが数字で評価された形といえよう。
2位は千葉。ポゼッションサッカーを標榜する木山サッカーが早くも数字に現れた形となった。3位が東京V、4位が北九州、5位岡山となった。東京V・北九州は去年から続けるパスサッカーが数字に出た形だが、6位を目標に掲げる影山監督率いる岡山の今後のパスサッカーの出来で順位が上がってくる可能性を示唆しているかもしれない。
<②クロスCBP個人ランキング>
<② クロスCBP=サイドからのチャンス構築力:千葉が僅差で1位を獲得>
クロスからチャンスを作るクロスCBPが最も高いチームは千葉となった。パスCBPでも2位を獲得しているが、ビルドアップからサイドを突破してチャンスを作っているということがこのスコアから想像できる。
2位は甲府、3位は山形。両チームはパスでのCBPがあまり高くないが、クロスでチャンスを作って少ないチャンスをものにして上位をキープしているチームだと言えそうだ。4位京都、5位水戸が続き、水戸のサイドハーフ、サイドバックからの攻撃も驚異となっていると言える。
<③ドリブルCBP個人ランキング>
<③ ドリブルCBP=強い個の突破によるチャンス構築力:ダヴィと柏率いる甲府が1位>
最後にドリブルのCBPで一位となったのは甲府。甲府はクロスでも2位となっており、ドリブルとクロス主体の攻撃を組み立ているといえよう。ドリブルは強烈な個人のスキルに依存するので、個人選手のスコアに注目したいが、個人順位で3位にダヴィ、4位に柏がランクインしており、1位獲得の原動力となった。
なお、2位は湘南、3位は京都、4位は東京V、5位が愛媛となっている。京都はパス、クロス、ドリブルのすべての部門で5位以内に入っており、どの要素でも攻撃が組み立てられるチームであることが言える。愛媛が5位に入っているが、DFの前野が2位にランクインしており、今後注目していきたい選手だ。
このスコアは各プレイが成功した場合の累積数となるため、パス・クロス・ドリブルの数が多ければこのスコアは上昇しやすい傾向はあるが、まずは絶対数が多いほうがチャンスの数は自ずと多くなるので、各チームにおけるストロングポイントがパス、クロス、ドリブルのどの要素であるかを見極める指標として活用いただければと思う。また本スコアをそれぞれの絶対数で割れば、シュート到達の可能性が高い(≒質の高いプレイ)をしていると評価する見方もできるので、そういった指標に関しては次回以降紹介していければと思う。
Text by 木下陽介
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