前回と前々回でパス、クロス、ドリブルの3プレーについて、その抽出方法や考え方をご紹介したが、今回はこれら「攻撃」に対極する「守備」についてご紹介する。
パス、クロス、ドリブルの攻撃的プレーに関しては、下記の考え方を用いた。
“フィールド上で発生するプレーを「プレー項目(パス、ドリブル、クロスなど)」と「エリア」で定義し、①そのプレーがどの程度シュートに結びつくか、②そのプレーがどの程度難しいか、という2つの視点に則った算出式を用いてスコア化”
そこで守備だが、考え方は至ってシンプルにした。
“これら攻撃的プレーをどれだけ止めたか”
という観点で、フィールドの攻撃方向をひっくり返して守備側の目線に変え、そのプレーを止めた際に「攻撃側から見てのChance Building Point(以下、CBP)を付与」するものである。
図<ボールゲイン>
つまり、攻撃CBPが高いプレーを止めれば止めるほどポイントが高く付与されることとなる。当然のことながら、自陣ゴール前に運ばれてしまったボールを奪い返した時が高くなる。それは初回にご紹介したパスCBPの表からもうかがえる。(図2)
図2<パスのCBP>
ただ注意したいのは、ボールゲインCBPが高い=守備力のあるチーム(選手)とはならない点。そもそも自チームがボールを保持している時間が長く、攻め込まれる回数が少ないのならば、その回数自体に差がある他チーム(他選手)と比較することはアンフェアとなる。したがって、例えば同一チーム内におけるボール奪取の貢献者は誰なのかなど、「攻め込まれた回数」すなわち母数を同一にして判断すべきであるという点だ。あるいはその中でも、出場時間(90分)あたりに置き換えてもいいだろう。
また、止められなかった場合や高い位置で止めた場合、オフ・ザ・ボールのデータやその時の周囲の状況、点差、天候など考慮すべき課題は様々あるものの、まずは「相手の攻撃を止めた」ことに対する評価を目指したのがこの指標である。今後も改良を重ね、データから見える守備の評価を行っていきたい。
Text by 杉崎 健