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データからみる「ロンドン世代」の注目選手は?
2ヶ月後に迫ったオリンピックに向けた前哨戦となるトゥーロン国際大会に臨むメンバーが今月18日に発表されたが、今回はCBPを用いてU-23世代の注目選手について考察してみたいと思う。
では早速、攻撃の選手について表1をご覧頂きたい。(J1でFWまたはMFに登録されている選手を分析対象とした)
【表1】
J1に所属するU-23世代の選手について、CBPを元にプロットをしている。(ただし、選手によって出場時間が異なるため、出場時間による補正を行っている)
横軸(X軸)が攻撃CBP(パスCBP+ドリブルCBP+クロスCBP)、縦軸(Y軸)がシュートCBPである。
右側にプロットされる選手ほどシュート機会に貢献している(すなわち多くのチャンス機会を作っている)、上側にプロットされる選手ほどシュートが上手いと解釈して、この表を見ていただきたい。
少し説明が長くなったが具体的に、攻撃CBP(横軸)を見てみると、ドイツへの移籍が決まった清武弘嗣(C大阪)が頭ひとつ飛び抜けており、続いて既にフル代表に選出されている原口元気(浦和)・金崎夢生(名古屋)、チームの攻撃の主軸となっている齋藤学・小野裕二(以上、横浜FM)がこの世代の中では高いレベルにあることが分かる。トゥーロン国際大会のメンバーには招集されていないものの柿谷曜一朗(C大阪)、大島僚太(川崎F)、米本拓司(F東京)も高いスコアになっており今後の代表への選出に期待したいところだ。
次にシュートCBP(縦軸)を見てみると、J1でも得点ランク上位の高木俊幸(清水)が突出して高い。高いシュート技術が如実に数字に表れている。一方で、今回U-23代表に選出された前線の選手のシュートCBPは、山本康裕(磐田)・齋藤学(横浜FM)を除いてあまり高くない。海外組のストライカーに委ねる部分が多いのかもしれないが、やはり「決定力」は今後の課題になってくる可能性は高いのではないだろうか。
では続いて、守備の選手について表2をご覧頂きたい。(こちらもJ1でDFまたはMFに登録されている人を分析対象としている)
【表2】
横軸(X軸)はこちらも攻撃CBPで、一方で縦軸(Y軸)は守備CBPとなっている。縦軸(Y軸)に守備CBPを採用しているので、上方にプロットされるほど、試合において守備機会に貢献している選手と言える。
守備CBPに関しては、守備機会の最も多いセンターバックが上位に挙がる傾向が強く、奈良竜樹(札幌)、山村和也(鹿島)、鈴木大輔(新潟)が上位に挙がる。
特に注目したいのは、右上の象限にプロットされる選手。攻撃機会にも積極的に貢献し、かつ守備としてボール奪取能力に優れているという点では、キープレイヤーと言える。丸橋祐介、扇原貴宏(以上、C大阪)、酒井宏樹、茨田陽生(以上、柏)がこの象限にプロットされている。酒井はフル代表にも選ばれ注目の右サイドバック、扇原はU-23のゲームメーカーとして欠かせない存在となっているが、今回招集が見送られた丸橋、茨田の今後も注目したい。
既に多くの選手が海外で活躍しているロンドン五輪世代だが、Jリーグの中でも各クラブの中心選手となっている。今回は五輪世代に着目してJ1で高いパフォーマンスをしている選手を簡単に考察した。五輪までの2ヶ月間、彼らに着目しながらJリーグを観戦していただければと思う。
Text by 木野本朋哉
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2024-11-04 15:10
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2023-12-05 12:45