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コラムColumn「アデミウソンの先制点は防げた?」ルヴァン杯決勝の先制ゴールをトラッキングデータで分析。

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「アデミウソンの先制点は防げた?」ルヴァン杯決勝の先制ゴールをトラッキングデータで分析
2016.11.16

2016年10月15日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ決勝戦。延長戦でも勝敗が決まらぬ熱戦は、PK戦の末に浦和の優勝で幕を閉じた。
両チームが死力を尽くして繰り広げた120分の中で、非常にインパクトが強く、ピックアップしたいプレー。それは前半17分、G大阪に先制点をもたらしたアデミウソン(G大阪)のドリブルだ。そのプレーは以下のハイライトから視聴も可能となっている。

【ハイライト】ガンバ大阪×浦和レッズ「2016JリーグYBCルヴァンカップ決勝」(外部サイト・Youtube) 

今回、Football LABではアデミウソンがハーフウェーラインを越えた瞬間からシュートを打つ直前までのトラッキングデータを分析し、以下にまとめた。分析対象となる選手は、得点者のアデミウソンと、ドリブルするアデミウソンに体を寄せに行った槙野(浦和)ではなく、ピッチ中央で並走した森脇(浦和)とする。


スピード推移と位置関係

今回注目したのは、以下の3点とする。
・アデミウソンのスピード推移
・森脇のスピード推移
・最終的にシュートを打った位置に対する両者の位置関係(どちらの選手が近かったか)
の3点である。

まず、アデミウソンがハーフウェーラインを越えた瞬間、そのスピードはすでに時速27.2kmに達していた。この時点での森脇のスピードは時速20.7kmであったが、ピッチ上の位置的には森脇のほうがよりゴールに近く、最終的なシュート位置までの距離に関してもアデミウソンよりも約3.8m近い位置にいた。

その約1秒後、アデミウソンが時速30.7kmに達した時点での森脇のスピードはまだ時速21.4kmで、約3.8mあった距離の優位性は、約1.7mまで縮まっている。

続いてアデミウソンが槙野と競り合って一時的にスピードが落ちたタイミングがあるが、この間も距離の優位性は縮まり続け、ついには0に。

その後、アデミウソンが再び加速し、この一連のプレーの中での最高時速32.3kmまで到達。森脇も加速を続けて最高時速29.3kmに達したが、その時点で両者の位置関係は逆転しており、アデミウソンのほうがシュート位置に対して約1.2m近い状態となる。

最終的に、アデミウソンがシュート体勢に入ってスピードが緩まったものの、この距離の差を詰めきることはできず、シュートを許してしまった。
これは机上の空論に過ぎないが、森脇の加速のタイミングがあと1秒早かったとすれば、約1.27mの距離を稼げていたため、シュートを阻止できていたかもしれない。

アデミウソンのプレーが素晴らしかったことに疑いの余地は無く、今後も長く語り継がれるゴールシーンになるだろう。
一方で、「勝負の分かれ目は細部にあり」といわれるように、こうした細かい部分を突き詰めていくことも重要ではないだろうか。

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