TEAM SELECT

コラムColumns勝率データを裏切るのはG大阪の長沢駿?チャンピオンシップ見どころ。

HOME » 勝率データを裏切るのはG大阪の長沢駿?チャンピオンシップ見どころ
勝率データを裏切るのはG大阪の長沢駿?チャンピオンシップ見どころ
2015-11-27 12:00 RSS

いよいよ、チャンピオンシップが開幕する。その出場権をつかんだのは、広島、浦和、G大阪。11年ぶりに復活する舞台で、栄光を手にするのはどのチームか。今回は、明日に迫ったチャンピオンシップのプレビューをお届けする。


■G大阪は被先制試合の勝率が1割
サッカーにおいて、先制点は試合展開を大きく左右するもの。そこで、先制試合と被先制試合との勝率を比べた。

先制試合では、広島が9割を超える圧倒的な勝率を記録した。その一方、浦和は7割弱と決して高くはないが、被先制試合でも6割の勝率に達している点は興味深い。この点が、昨季と今季の浦和の違いといえる。昨季の被先制試合の勝率は25%。その変化は明らかだ。

その浦和と準決勝で戦うことになるG大阪は、3チームの中で先制試合と被先制試合の勝率に最も差があった。先制試合の勝率が7割を超えているのに対し、被先制試合の勝率は1割しかない。浦和との違いは、終盤に点が取れていないこと。昨季と比べて浦和が76分以降の得点が倍に増えている一方、G大阪は半分以下に減っている。

■長沢駿が再び救世主となるか
そんなG大阪の課題を解決しつつあるのが長沢駿。浦和との前回対戦で決勝点を挙げると、最終戦の山形戦でも途中出場から得点。長谷川健太監督の秘蔵っ子が、チームを逆転でのチャンピオンシップ出場へと導いた。途中からの出場が多い広島の浅野拓磨や浦和のズラタンと比べても、長沢のシュート決定率と枠内率が高い。

また、点を決めるだけでなく、ポストワークによって周りを生かせるのも彼の強み。2nd第14節の浦和戦と第17節の山形戦のプレーエリアを見ると、ゴールの近くにいるよりも、中盤や右サイドに流れてのプレーが多いことがわかる。決定機への関与も多く、3プレー以内にゴール、シュート、クロスにつながったパスでは、受け手として存在感を発揮。山形戦では自身のゴールを含めて3得点に絡んだ。

今季の対戦では浦和に主導権を譲り、押し込まれる時間帯も多かったG大阪。また、こぼれ球の奪い合いで敗れる場面も目立っている。図は、今季のG大阪と浦和の対戦におけるエリア別のこぼれ球奪取数を表したもの。図を見ると、G大阪は各エリアで思うようにこぼれ球を拾えていないことがわかる。それは、そのまま攻撃機会の減少にもつながるだけに、少ないであろうチャンスからフィニッシュへとつなげるためには起点となれる選手が必要だ。その役割を長沢が果たすのか。

■アウェイでの勝率がホームを上回る広島。得意の敵地で先手を取るか
準決勝と違い、決勝はホーム&アウェイで行われる。年間勝点で首位の広島は第1戦をアウェイで、第2戦をホームで戦うことになるが、それは奪還を狙う彼らにとって有利となるだろう。広島の勝率をホームとアウェイで分けて見ると、アウェイの方が76.5%と高く、今季の浦和とG大阪とのアウェイゲームでも勝利を収めている。

ホームとアウェイでの戦い方の違いは得点パターンにも表れており、ホームでは攻める時間が長くなるため、クロスやその流れで得たセットプレーからの得点が多い。その一方、守る時間が長くなるアウェイでは、スルーパスやドリブルでの得点が多く、状況に応じた使い分けができていた。

今季の浦和とG大阪とのアウェイゲームでも、広島は後半にスルーパスから点を取っている。その試合で、浦和とG大阪は得点以外でも広島にスルーパスを高い確率で通されていただけに、対策を立てて臨むことになるだろう。しかし、試合が終盤になれば、ホームで勝利を、最低でも引き分けをという心理が働いてくるもの。歴代最多の勝点を積み重ねた試合巧者の広島は、文字通りその裏を突いてくる。

以上、勝率に触れながらプレビューをお届けしてきたが、サッカーの醍醐味と幸福感を味わえるのは、そんな予想を上回るパフォーマンスが見られたときでもある。チャンピオンシップの結末やいかに。


Text by Football LAB 渡邊

2015-11-27 12:00 RSS
J STATS

Columns

Graphics