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J1残り10試合~コンフェデ中断後好調のチームと今後の展望~
2013-09-14 16:00 RSS

 J1も残り10試合。優勝争いは首位横浜Mを広島・浦和が追い、鹿島・C大阪がACLを視野に入れながら追走している。残留争いは昨年ほどではないが、昇格組の甲府・湘南・大分、そこに今年低迷の磐田が絡む形。昨年好成績だった鳥栖も油断できない位置にいる。

 ところで、今年はコンフェデがあったことにより、中断期間がもうけられた。大宮は前半戦独走が続き、中断前は首位の位置にいたが、J1再開後連敗が続き、ベルデニック監督電撃解任。前節ようやく首位横浜Mに勝利し連敗がストップした。監督交代の要素もあるが、果たして大宮が失速した要因は何だったのだろうか。

 今回のコラムでは、J1中断前13試合、中断後の11試合における各チーム、選手の成績を比較し、現在の好調チーム・不調チームの要因を探り、残り10試合の見所や注目チームを探っていきたい。


■中断前後の勝ち点比較

まずは、中断前の13試合と中断後の11試合での勝ち点比較を見てみたい。24節終了時点での首位は横浜M、次いで浦和・広島が続く。この3チームは前期後期ともに上位をキープしており、今シーズンの優勝争いはこの3チームが中心と言ってもいいだろう。
 前半戦絶好調だった大宮は、中断後の勝ち点がわずか7で17位となっている。前半戦4位につけていた鹿島、6位につけていたC大阪は後期勝ちきれない試合が多く、ACL争いも含めてここからが正念場だ
 一方、後半戦調子を取り戻し、最も勝ち点を重ねているのは名古屋。再開後7勝3分1敗と好調をキープし、現在も9戦負けなし。
 柏は前半戦システム変更がうまくいかなかったことと、ACLの影響などもあって前半低迷したが、後半しっかり立て直し勝ち点19をマーク。新潟も前半戦は残留争いに絡んでいたが、後半勝ち星を増やして柏と同様の勝ち点をマークした。

 また、前半戦と後半戦の1試合平均勝ち点の差を見ると、現在の上位が前半戦よりも軒並みマイナスとなっており、伸び悩んでいることがわかる。そんな中鳥栖は後半盛り返しており、名古屋の次に伸びたチームだ。

■中断前後の得点・失点比較

 勝ち点変化の要因を見ていくために、次は得点比較をしていきたい。現在得点が最も多いチームは川崎Fで、中断前よりも中断後の方が1試合平均得点が上昇。風間監督が提唱するパスサッカーが一年間を通じて得点に結びついてきた証拠だ。
 前半戦上位だった浦和、大宮、横浜M、F東京は中断後1試合平均得点数が低下している。浦和は前半戦大勝の影響があり、前半戦との差が大きく見えているが、最近は0点で終わるゲームが増えており、得点力アップが課題だ。横浜Mも序盤は大量得点が多かったが最近は手堅い試合が増えてきており、ここぞというときの得点力が課題だ。
 一方後半戦上昇しているチームは名古屋、柏、清水の3チーム。特に名古屋、柏は得点力アップによって現在好調をキープしていると言っていいだろう。
 続いて、失点ランキングを見ると、C大阪、広島、横浜Mがトップ3で前期・後期にかかわらず、上位をキープしている。C大阪は柿谷の印象が強いがむしろ守備が堅いところが上位に入っている要因だ。
 後半に守備を改善してきたチームは鳥栖、柏、仙台。鳥栖は序盤大量失点が多かったが、後半になって平均失点数を1点台に戻して勝ち試合を拾えてきている。柏は前半戦3失点4失点が多かったが、中断後調整してきて守備面はやや改善された模様だ。仙台はもともと守備に定評があるチームだが、前半は失点が多くチームが安定せず、再開後調整してきて、最少失点チームとなっていいる。
 最後に中断後に失点が多くなってしまったチームは大宮、大分、清水。大宮は中断前に守備が堅かったことが好調を維持していた要因だったと思うが、完全に崩壊しまっている。

■大宮低迷の要因はラインコントロール不足?

 得点・失点両面で数字が低下した大宮だが、ここで気になるデータを紹介していきたい。上記のランキングは中断前後における1試合平均のオフサイド獲得数の推移と、被スルーパス成功率(スルーパスを相手チームに許してしまう確率)で、中断前後においてオフサイド獲得数が減少、同時にスルーパスを通してしまう数字も大きく上昇してしまっている。
 もともと大宮はゾーンをコンパクトにしてプレスを掛けられるようにし、ボールを奪ってカウンターを仕掛けるチームだったが、ラインが下がって間延びし、プレスを掛けられなくなってオフサイドが取れなくなったり、相手にスペースを与えてスルーパスをされる機会が増えていることが低迷の要因かもしれない。

■得点要因分析

 中断前後で得点力がアップしたチームと停滞したチームが確認できたが、続いてはその要因は決定力によるものなのか、チャンス構築によるものなのかを把握していきたい。中断前後のシュート決定率(ゴール/シュート)の変化を決定力の影響を確認する指標、1試合当たりの攻撃CBPの変化をチャンス構築力の影響を見るために確認してみた。

 これを見ると、シュート決定率が上昇したのは名古屋、清水、川崎の順。特に名古屋は決定力がアップしてチームが好調になったことが分かる。清水が得点を取れるようになった要因も決定力Upだと言えよう。一方大宮、浦和、広島は決定力の低下によって得点力が低迷していると言えよう。

 1試合当たりの攻撃CBPについては、大宮が最も上昇している。一方浦和が最も低いことが確認できる。

■【名古屋・清水・川崎】好調を支えている選手は?

 得点力Upの要因を探るため、選手別における中断前後のゴール・アシストの推移を見ていきたい。まず名古屋は、やはりケネディがチームにフィットしてきたことが大きく、中断後7得点4アシストとチームの中心となっており、コンビを組んで入る玉田の得点もアップ。加えて藤本が右サイドに定着してからアシスト数が増加しており、名古屋のサイド攻撃は脅威になっていると言っても過言ではない。

 続いて清水は、やはりラドンチッチの加入が大きい。加入後6試合ですでに4ゴール2アシストをマークし、攻撃の起点となっている。それにより両サイドにいる河井、高木も得点に絡めるようになっており、今後大前のコンディションが上がってくればさらに攻撃力Upが期待される。

 川崎は大久保が好調であることと、中村憲剛が得点に絡んできていることがさらにシュート決定率上昇につながったと言えるだろう。


■【大宮・浦和・広島】今後奮起を期待したい選手は?

 一方攻撃力低下が顕著な大宮は、ノバコビッチ・ズラタンの決定力低下が原因。ズラタンはランク外となってしまっている。アシストの推移を見ても、両サイドのチョヨンチョルがアシストから外れてしまっていることもあり分厚い攻撃を作れていないのが原因で、外国人の奮起が期待される。

 浦和は攻撃CBPの低下、決定率の低下の両方が浮き彫りに。特に原口が前半6ゴールから2ゴールに減少し、特にシュート決定率の低下が目立つ。興梠が点を取れるようになってきているだけに原口の奮起が今後の課題だ。

 広島のシュート決定率低下は寿人がマークが厳しくなって低下しているところに起因しているところが大きいが、気になるのは今年加入してチームを活性化した石原の攻撃CBPが低下しているところ、ミキッチがいまだアシストがなく怪我で離脱する機会が多いところも攻撃に厚みが出せなくなっている要因だ。


■【参考】中断前後ゴール・アシストランキングトップ10

■残り10試合、今後の展望と注目チーム


 今までの状況を振り返ると、優勝争いをしている横浜M・浦和・広島・鹿島・C大阪はやや低迷、ここに大宮が踏みとどまれるか。また、残留争いをしている今期J1昇格チームと磐田はあまり変化なく鳥栖だけが少し抜け出した形。中位チームが名古屋・清水・柏・仙台・川崎F・F東京がそれぞれの持ち味を生かしながら現在好調という図式だと言えるだろう。
 残り10試合の対戦カードを見ながら、今後の展望を少しだけ見てみたい。上の表は残り10試合の対戦カードと、対戦相手の順位の合計を表示しランキングしている。数字が多いほど下位との対戦が多い傾向にあると読み取っていただきたい。

<優勝争い>
 対戦相手が最も有利なのは横浜M。上位との対決が広島、C大阪しかなく、残留争いチームも3つのみとなっており、数字の上で最も優勝に近いかもしれない。一方、広島は残留争いのチームが最も少なく、上位との対決を最も残しており、最も対戦相手が厳しいと言えよう。ただ勝っていけば勢いに乗っていけるわけで、最後の広島VS鹿島はACL争いも含めた大一番となるだろう。
 鹿島も横浜Mに続き対戦相手に恵まれていると言えよう。残留争いのチームをすべて残しているが、ここで確実にたたいていければ、残り2試合のC大阪、広島で優勝のかかった大一番になる可能性がある。
 一方大宮は浦和とのさいたまダービー以外上位との対決が終わっている。前節横浜Mに勝利し、ここから再び堅守速攻のサッカーを復活できれば再び優勝争いに食い込んでいけるかもしれない。

<残留争い>
 どのチームも上位との戦いを残しており、厳しい戦いが待っているが、上位5チームも対戦を残しているチームは湘南。ここ2試合での鳥栖、大分との直接対決を落とすと、残りは上位が中心になるので、一番優勝争いのカギを握るチームかもしれない。大分は上位4つ、残留争いチーム3つと厳しい戦いが残っており、最も残留が難しいチームであることは間違いない。

<注目チーム:名古屋>
名古屋は中位の中で上位対決が最も少なく、残留争いの戦いも少ないため、今の調子を維持すれば最後に優勝争いに絡んでくるチームかもしれない。31節の横浜Mとの直接対決の頃には優勝争いに絡んでいるかもしれず、注目していきたいチームだ。



 2015年には2ステージ制に変更することが決まり、賛否両論あるとは思うが、まずは今シーズンの残り10試合、今回のコラムで少しでも皆様の今後の注目ポイントを見つけるきっかけを作ることができれば幸いである。
 

2013-09-14 16:00 RSS
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