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コラムColumnsEURO旅日記④『スペインVSクロアチア@バルティック・アレナ』。

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EURO旅日記④『スペインVSクロアチア@バルティック・アレナ』
2012-06-27 22:00 RSS

~残り2分で力尽きたクロアチアの美しいプレスディフェンス~


EURO2012もベスト4が出揃い、スペインVSポルトガル、ドイツVSイタリアと好カードの準決勝となりました。その中でもスペインは前評判通りコマを進めておりますが、破壊力のあるスペインの攻撃を完封しかけた試合がグループリーグ最終節にありました。ラストの旅日記はスペインVSクロアチア。こちらも写真を中心にお送りしたいと思います。


【港町グダンスクは両サポーターで溢れる】

スペインVSクロアチアが行われた街グダンスクは、ポーランド最大の港町で中世の頃から反映した街だそうです。港町らしく川のすぐそばに飲食店や雑貨屋が並んでいました。ワルシャワと違って街自体はさほど広くなく、そこにスペインとクロアチアのユニフォームを来たファンたちで溢れていました。写真はチャントを歌いながら練り歩くクロアチアサポーター達。そのあと、後ろにはスペインの集団がラッパを吹きながら登場。こんなシーンが連続し、街は昼間からとても賑やかでした。

【EURO期間中はバルティック・アレナと呼ばれた黄色いスタジアム】

ポーランドリーグ、レキア・グダニスクの本拠地であるバルティック・アレナは、先ほどの港町からトラムで4駅で下車。そこから歩いて20分ぐらいの場所にありました。ワルシャワのスタジアム同様、巨大な黄色い屋根に囲われた存在感のあるスタジアムでした。このスタジアム、普段はPGEアレナ・グダンスク(※PGEとはポルスカ・グルパ・エネルゲティチュナの略)と呼ばれているそうで、ポーランドの電力会社ポルスカ・グルパ・エネルゲティチュナが命名権を購入しているそうです。

【スタジアム内のサポーター比率はほぼ互角】

スタジアムの収容人数は約44,000人とワルシャワより小さいですが、スペイン、クロアチア両サポーターでぎっしり埋まりました。両者の数はほぼ互角。いやクロアチアの方が多かったかもしれません。試合開始前にはウェーブが起こり、試合前には盛り上がりが最高潮となりました。

<スペイン側>

<クロアチア側>

【試合開始直後に発炎筒を炊いたクロアチアサポーター】

この試合は、グループリーグ最終節ということもあり、非常に大事なゲームでした。もしクロアチアがスペインに勝つと、イタリアの結果次第でグループステージ敗退の可能性もあり、緊迫感のある試合となりました。試合開始直後には発炎筒が焚かれ、スタジアム内がブーイングで一時騒然に。この煙がピッチ内に充満し、試合が一時ストップするシーンもあり、物々しい雰囲気となりました。

試合は前評判通り、非常にレベルの高い試合となりました。世界一のポゼッションサッカーで連覇を狙う無敵艦隊スペインに対し、クロアチアは非常に緻密な守備組織で対抗。DFとMFが綺麗な2ラインを形成し、選手間の距離をなるべく狭くすることで、プレスをかけやすいポジションを形成。前線から激しいプレスをかけて相手のパスミスを誘いカウンターで勝負という作戦。上から見ると両サイドハーフ・バック同士の距離はフィールドの半分しか使っておらず、サイドには大きなスペースができていました。それでもサイドを使わず、得意のパスサッカーで中央突破を図るスペイン。お互いのポリシーを貫き通す対決となりました。

前半はクロアチアの作戦通り、珍しくスペインがパスをなかなか縦に入れられない展開に。時折イニエスタ(バルセロナ)とダビド・シルバ(マンチェスターC)で大きなサイドチェンジをするも、素早くクロアチアがポジションチェンジをして対応。スペインはなかなかゴールエリアに侵入することができませんでした。

後半もクロアチアが前線から激しいプレスをかけ続け、スペインにとって苦しい展開が続きます。そしてクロアチアのカウンターからついにビッグチャンスが訪れます。狙い通りのカウンター攻撃からクロアチアの10番モドリッチ(トッテナム)がクロスを上げ、ラキティッチ(セビージャ)のヘディングシュート。しかし、守護神カシージャス(レアル・マドリッド)がスーパーセーブで。このシーンが、一番のターニングポイントだったと思います。クロアチアはシュート5本しかありませんでしたが、枠内シュートは3本と途中まで作戦どおりの展開だったと思います。
しかし、その後もスペインはポリシーを崩さずパスワークでクロアチアを責め立て、クロアチアの体力を奪っていきました。後半30分を超えるとクロアチアのプレスが効かなくなり、スペインは何度かビッグチャンスを演出し始めました。そしてついに後半43分、ついにクロアチア鉄壁の守備が崩壊。ループパスに抜け出したイニエスタにクロアチアディフェンスはついていけず、イニエスタからパスを受けたヘスス・ナバス(セビージャ)が決勝ゴール。その後はクロアチアに攻める力は残っておらず、タイムアップ。惜しくもクロアチアは予選敗退、スペインは苦しみながら決勝トーナメントの切符を手にしました。シュートシーンは少なかったですが、非常に見ごたえのある試合でした。

※詳細な試合データはこちら

 そんなわけでささやかにお送りしてきましたEURO旅日記も今回で終了です。お付き合いいただきありがとうございました。また海外にサッカー観戦機会があれば、書いてみようかなと思います。ワールドカップ以上にレベルの高い試合が続くEURO2012も残り3試合。優勝するのはどのチームか。最後まで目が離せません。

Text by 木下陽介

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